世界一の南アが苦しみながらも土壇場勝利 ウェールズは一時12人で奮闘するも打倒王者ならず
ラグビーワールドカップ連覇へ向け強化を進める世界ランキング1位の南アフリカ代表“スプリングボックス”が、同9位のウェールズ代表に苦しめられながらも、土壇場で勝利をつかんだ。地元プレトリアのロフタス・ヴァースフェルドで現地時間7月2日にテストシリーズの第1戦をおこない、32-29で制した。
勇敢だったウェールズ代表“レッドドラゴン”は、南アの地で初の打倒スプリングボックスならず。
先に主導権を握ったのはウェールズだった。
前半2分、ラインアウトスチールから敵陣に入り、すばやくワイドに展開してWTBルイス・リースザミットが右外を走り切り、先制トライを挙げた。9分には、SOダン・ビガーが40メートル超のドロップゴールを成功し、8点リードを奪った。
その後、両チームともペナルティゴール(PG)でスコアボードを動かし、迎えた32分、ウェールズはラインアウトでこぼれたボールをリースザミットが足にかけ、それを自ら確保してインゴールに持ち込んだ。
3-18で折り返した南アフリカは46分(後半6分)、ラインアウトからモールで押し切り、反撃開始。51分にもドライビングモールでゴールに迫り、交替で入ったばかりのHOマルコム・マークスが持ち出しインゴールに突っ込んだ。
その後、ウェールズにPGを2本許し、9点差とされた南アフリカだが、65分、ゴールに迫ったあとすばやくボールを動かし、CTBダミアン・デアレンデがキックで転がしたボールをWTBチェズリン・コルビが確保して右隅にトライ。コンバージョンも成功で22-24となった。
そして、68分、74分とウェールズは反則行為があった選手にイエローカードが出され、13人になってしまう。
直後、ラインアウトからモールでゴールに迫った南アフリカに対し、ウェールズはまたも反則を犯してしまい、レフリーはペナルティトライを宣告した。29-24と逆転。
ウェールズはイエローカードをもう1枚提示され、さらに苦しくなった。
それでも、勇敢な赤いジャージーの男たちは打倒スプリングボックスをあきらめはしなかった。77分、敵陣深くに入ってラインアウトからモールで前進し、ボールを持ち出したHOデウィ・レイクがインゴールに突っ込み、トライ。SOビガーのコンバージョンは失敗したが、29-29の同点となった。
だが、ドラマは最後にもうひとつあった。
80分経過を知らせるサイレンが鳴ったあと、敵陣で攻め続けた南アフリカに対し、13人で懸命にディフェンスしていたウェールズに反則が出てしまう。南アフリカはショットを選択し、FBダミアン・ヴィレムサがPGを決め、劇的勝利となった。