稲垣啓太も太鼓判。日本代表「3」の争いに、木津悠輔が再び立候補。
期待に応えたと言えよう。
約2年7か月ぶりにラグビー日本代表へ復帰した木津悠輔は、6月25日、福岡・ミクニワールドスタジアム北九州でのウルグアイ代表戦に先発した。
持ち場の右PRで50分間、プレー。地上のこぼれ球へ首尾よく飛び込み、球を持てば防御に亀裂を入れた。
何より最前列で組むスクラムでも、塊をなして前に出た。長谷川慎アシスタントコーチの教える8人一体のスクラムシステムに溶け込み、攻守を問わず塊となって圧をかけられたのだ。
かつて、そのイメージをこのように語っていた。
「自分が(単独で)押しに行き過ぎると、自分のいい形を出せない。気持ちの上では大胆に行きながら、じっくり相手を弱らせ、確実に自分たち(の塊)を前に持っていくというやり方です」
身長178センチ、体重112キロの26歳。全国的に無名な大分・由布高から、長らく関西有数の強豪校だった天理大の門を叩いたのは2014年。母校が初の大学日本一に輝くよりも2シーズン前の18年度、現・トヨタヴェルブリッツに加わった。
日本代表デビューは2019年。先ず同年2月にあったフランス・クレルモンとの慈善試合で、「トップリーグ選抜」の一員として持ち味を発揮。ワールドカップ日本大会をにらむチームの候補メンバーにあって、存在感を高めた。
果たして本大会でもスコッド入りし、出番こそ得られなかったものの史上初の8強入りを後押しできた。
大会中、正左PRだった稲垣啓太に「(練習では)対面が木津選手になるんですけど、どんどん強くなっていますね。いまは彼と組むのが一番、しんどいかもしれないですね」と言わしめ、本人は喜びをかみしめた。
「試合には出られていないですけど、そういうふうに言っていただくことで大会中の自分自身の成長を感じられます。それと、僕たちが(練習で)プレッシャーをかけると、直接メンバーの皆にいい影響を与えられるとも思えます」
以後は長らくけがに泣いたものの、今季のリーグワンでは8試合に出場。5月9日に日本代表候補となり、6月3日に代表へ戻れた。
宮崎合宿では東京サントリーサンゴリアスの垣永真之介、ワールドカップ日本大会組で埼玉パナソニックワイルドナイツのヴァル アサエリ愛、左右両方で組めるクボタスピアーズ船橋・東京ベイの北川賢吾と競争。今度の機会を得た。
右PRでは、離脱中の具智元も宮崎の練習を一時的に見学しており、ジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチは「具は次のブロック(秋の遠征)から参加すると思っています」と明言。2023年のワールドカップ・フランス大会へ、タフな争いを望む。
「具はすごくいい選手です。彼もチームの一員です。木津は2019年にチャンスがありましたが、ワールドカップ後のけがから復帰した選手として期待している。たくさんいいPRがいるので、今後を楽しみにしています」
ウルグアイ代表戦でアピールに成功したであろう木津は、7月2日、9日の対フランス代表2連戦でも出番をうかがう。周りとの違いを証明したい。