日本代表 2022.06.30

進路も気になるヴィンピー・ファンデルヴァルト。強烈タックル長所に復活アピール。

[ 向 風見也 ]
進路も気になるヴィンピー・ファンデルヴァルト。強烈タックル長所に復活アピール。
NDSでの活動を経て日本代表の宮崎合宿に追加招集されたヴィンピー・ファンデルヴァルト 🄫JRFU


 向こうの波をせき止めた。ラグビー日本代表のヴィンピー・ファンデルヴァルトが、持ち味を発揮した。

「自信が深まってきました」

 代表本隊は6月3日から宮崎合宿中。25日には福岡・ミクニワールドスタジアム北九州で、ウルグアイ代表との実質的な初戦を43-7で制した。

 ファンデルヴァルトがプレーしたのは、その1週間前のことだった。

 18日、東京・秩父宮ラグビー場での同カードへ臨んだ。予備軍にあたるナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)で編まれた日本代表で、4番をつけた。

 NDSはその直前まで、宮崎合宿と同時並行で大分合宿を実施。秩父宮でのトンガ出身者らとの慈善試合を含む計2試合を通し、主力組昇格を目指していた。

 渦中、「楽しく、エキサイトしています。学びもあります」とファンデルヴァルト。果たして最終テストの場となった18日のウルグアイ代表戦で、走者の前進を防ぐタックル、向こうの球出しを鈍らせる肉弾戦へのぶちかましを重ねた。

 攻めても際立った。SH周辺のユニットに入って突進、防御をひきつけながらのパスを重ね、攻めのテンポを速めた。

 結局、この日のゲームを34-15で制し、宮崎にいる正規の日本代表へ追加招集されたのだった。

「先週(慈善試合の時)よりもいいプレーができたし、ミスも減った。自分をどんどん高めていけていると感じます」

 身長188センチ、体重112キロの33歳。長身選手が務めるLOにあっては小柄も、持ち前の頑健さと忍耐強さが買われる。

 2019年にはワールドカップ日本大会に出場。史上初の8強入りに喜んでいる。

「ワールドカップのメンバーとは、心のつながりを築いています」

 昨年9月、日本代表合宿で右アキレス腱を断裂。復調に時間がかかり、今季のリーグワンでは出番が限られた。下部グループで再出発したのは、かような要素と無縁ではなさそうだった。

 へこたれなかった。いまでは、来年のワールドカップ・フランス大会出場を狙う。20歳で身長201センチのワーナー・ディアンズをはじめとした新星との競争も、望むところのようだ。

「復帰が発表されたときは本当に嬉しかった。日本代表でプレーしたいと、ずっと思っていたので」

 2013年から在籍のNTTドコモレッドハリケーンズ大阪は、強化方針を見直す。来季は社員選手主体となり、リーグワン3部で再出発。海外出身のプロ選手の処遇が注目されている。

 ファンデルヴァルトは今後の身の振りかたについて、慎重に言葉を選ぶ。

「(活動見直しの)ニュースを聞いたときは心を痛めました。ドコモでは9年間プレーしてきて、できればここで競技人生を終えたいと思っていたので。ただ、変化はいいこと。ポジティブに捉えていきたいです。この後についてですが、私はチームの採用担当ではないので何とも申し上げらません」

 いま集中するのは、参加中の日本代表合宿でのトレーニングだろう。7月2日、9日の対フランス代表2連戦(愛知・豊田スタジアム、東京・国立競技場)で、メンバー入りを目指す。

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