進路も気になるヴィンピー・ファンデルヴァルト。強烈タックル長所に復活アピール。
向こうの波をせき止めた。ラグビー日本代表のヴィンピー・ファンデルヴァルトが、持ち味を発揮した。
「自信が深まってきました」
代表本隊は6月3日から宮崎合宿中。25日には福岡・ミクニワールドスタジアム北九州で、ウルグアイ代表との実質的な初戦を43-7で制した。
ファンデルヴァルトがプレーしたのは、その1週間前のことだった。
18日、東京・秩父宮ラグビー場での同カードへ臨んだ。予備軍にあたるナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)で編まれた日本代表で、4番をつけた。
NDSはその直前まで、宮崎合宿と同時並行で大分合宿を実施。秩父宮でのトンガ出身者らとの慈善試合を含む計2試合を通し、主力組昇格を目指していた。
渦中、「楽しく、エキサイトしています。学びもあります」とファンデルヴァルト。果たして最終テストの場となった18日のウルグアイ代表戦で、走者の前進を防ぐタックル、向こうの球出しを鈍らせる肉弾戦へのぶちかましを重ねた。
攻めても際立った。SH周辺のユニットに入って突進、防御をひきつけながらのパスを重ね、攻めのテンポを速めた。
結局、この日のゲームを34-15で制し、宮崎にいる正規の日本代表へ追加招集されたのだった。
「先週(慈善試合の時)よりもいいプレーができたし、ミスも減った。自分をどんどん高めていけていると感じます」
身長188センチ、体重112キロの33歳。長身選手が務めるLOにあっては小柄も、持ち前の頑健さと忍耐強さが買われる。
2019年にはワールドカップ日本大会に出場。史上初の8強入りに喜んでいる。
「ワールドカップのメンバーとは、心のつながりを築いています」
昨年9月、日本代表合宿で右アキレス腱を断裂。復調に時間がかかり、今季のリーグワンでは出番が限られた。下部グループで再出発したのは、かような要素と無縁ではなさそうだった。
へこたれなかった。いまでは、来年のワールドカップ・フランス大会出場を狙う。20歳で身長201センチのワーナー・ディアンズをはじめとした新星との競争も、望むところのようだ。
「復帰が発表されたときは本当に嬉しかった。日本代表でプレーしたいと、ずっと思っていたので」
2013年から在籍のNTTドコモレッドハリケーンズ大阪は、強化方針を見直す。来季は社員選手主体となり、リーグワン3部で再出発。海外出身のプロ選手の処遇が注目されている。
ファンデルヴァルトは今後の身の振りかたについて、慎重に言葉を選ぶ。
「(活動見直しの)ニュースを聞いたときは心を痛めました。ドコモでは9年間プレーしてきて、できればここで競技人生を終えたいと思っていたので。ただ、変化はいいこと。ポジティブに捉えていきたいです。この後についてですが、私はチームの採用担当ではないので何とも申し上げらません」
いま集中するのは、参加中の日本代表合宿でのトレーニングだろう。7月2日、9日の対フランス代表2連戦(愛知・豊田スタジアム、東京・国立競技場)で、メンバー入りを目指す。