「大阪最古の高校試合」ここに。天王寺高校ラグビー部創部百周年
「天王寺ラグビー関係者はラグビーが大好きな集団」「試合でミスした時の対処は?」など、大畑氏が選手目線を交えた質問で福岡氏からさまざまなエピソードを引き出した。トークの途中では福岡堅樹氏の実父である福岡綱二郎氏が紹介される一幕も。氏は天王寺高校OBだ(堅樹氏は福岡高校OB)。
天王寺高校ラグビー部は1922年(大正11年)創部。もちろん、大阪府下で最も古い高校ラグビー部だ。以来、全国大会に19回の出場を果たし、うち優勝2回・準優勝3回を遂げその歴史を今につなぐ。
OBはまさに錚々たる顔ぶれで、学会、経済界に人材を輩出する。大学でラグビーを継続する選手が多いのも特徴で、数々の名手だけではなく、故 西野綱三氏(早大)、故 岡仁詩氏(同志社大監督)ら日本代表監督を務めた指導者、そして福本正幸氏(神戸製鋼チームディレクター)のようにマネジメント面でラグビー発展に貢献する存在も生み出した。アートデザインの世界では長友啓典氏(K2)などもOBとして知られる。天高ラグビーという土壌の幅広さ、奥深さを示すようだ。
式典の最後、青木一彦OB会長の言葉は来場者の心を掴んだ。
百年前から伝わる、創部時の話だ。
天王寺で楕円球の部を創部したものの、生徒たちはルールや練習の仕方も皆目わからない。そんな話を聞きつけ、手を差し伸べてくれたのはOBだった。大学入学後にラグビーをしていた先輩が「天王寺でラグビーを始めたのか。それなら俺たちが」とわざわざ指導しに通ってくれたという。
愛情をもって先輩が後輩の面倒を見る。それが百代続いているのが、天王寺のラグビーだと、後輩たちに語りかけた。
百年間つながってきた心のパスが、ずっと続くように。
これまで、これから。式典が終わっても続いた「仲間」との夜は、ふけるのが惜しい時間になった。