「ニクバナレ」から復帰。バーナード・フォーリーがスピアーズにもたらすエナジー
穏やかな風の吹く快晴の空は、陽気な男の帰還を歓迎しているようだった。
4月23日。バーナード・フォーリーが左太ももの肉離れから復帰した。クボタスピアーズ船橋・東京ベイが擁する、元ワラビーズ(71キャップ)の頼れる司令塔だ。
スピアーズが江戸川区陸上競技場にコベルコ神戸スティーラーズを迎えたこの日(リーグワン第14節)、フォーリーはプレイヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)に選ばれた。
9点を追いかける後半開始早々、連続攻撃でゴール前まで迫り、最後は自らインゴールに持ち込む。7点ビハインドの25分にはインターセプトで同点に追いつくトライを挙げた(29-29)。
さらに2PGを加えて逆転。35-32で迎えた終盤にも、ケガ明けを感じさせない運動量でゴール前までラインブレイク。SH藤原忍のトライにつなげた。
勝利を決定づけるトライだったが、直後、フォーリーに笑顔はなかった。それを問われると、「ツカレタ、メッチャ」とジョークを言って、こう続けた。
「心の中ではハッピーでしたけど、試合が終了するまでは仕事は終わりではない。強敵相手と戦っていたので、最後まで気を抜けないと思ってました」
第9節・東京サンゴリアス戦以来、1か月半ぶりの復帰だった。他チームに先駆けて再開されたミックスゾーンで、報道陣にケガの状況を聞かれれば、左太ももを指差し「ニクバナレ」と笑う。
「フィットネスや強度を戻しながら、ほかの体の部分のメンテナンスも含めて調整していました。休んでいる間は自分自身やチーム全体のレビューもしました。どういうところをより良くできるかな、と。特にアタックではボールをもっていないところでの動きがNEC戦(前節/71-41)で改善できていました。数週間試合から離れていたので、今日はグラウンドに戻って来られて嬉しいです」
就任7季目のフラン・ルディケHCも、フォーリーの復帰を喜ぶ。
「リハビリ明けでしたが、キックやアタックで選手たちをリードして良いパフォーマンスを見せてくれました」
POMは今季3度目の受賞となったが、フォーリーは「自分が良いチームにいるのでラッキーなだけ」と言う。
「うちのFWが素晴らしい働きをしてくれて、われわれBKに素晴らしいチャンスをもたらしてくれる。BKも武器になっているし、そのおかげで自分も良いプレーができていると思っています」
あくまでの仲間を称え、江戸陸をオレンジに染めたファンにも感謝を示す。この日は今季の江戸陸で最多となる、4643人の観客が訪れた。ほぼ満員に映った。
「満員のスタジアムでスタンドがオレンジに染まっていて、応援されている中でプレーできることは幸せなことです」
すでに2年連続の4強入りを決め、プレーオフ進出を確定させているスピアーズ。だがフランHCは「(次節の)シャイニングアークス戦に向けてフォーカスするだけです」と一戦一戦、戦うことを強調する。
フォーリーも同じ思いだ。
「80分間プレーして足も問題なかったですし、次の試合まで8日間ある。良いリカバリーをしてシャイニングアークス戦に備えたい。グラウンドに戻ったことで、チームに良いエネルギーをもたらせてたらと思っています」
5月1日、江戸陸での今季最後のホストゲームを迎える。
オレンジアーミーにより充実したゴールデンウイークを届けたい。