フランス大統領選、ラグビー界、スポーツ界はマクロン氏への投票呼びかける。
フランスでは、今週末24日に大統領選の決選投票が迫っている。
中道の現職のエマニュエル・マクロン氏と右翼「国民連合」のマリーヌ・ルペン氏がしのぎを削っている。
この選挙で選ばれた大統領の任期中にフランスで2024年のオリンピック、また2023年のラグビーワールドカップが予定されており、スポーツ界でも現職のマクロン氏に投票を呼びかける動きが起こっている。
4月10日に実施された1回目投票の2日後、ラジオ局のフランス・アンフォ、そしてパリジャン紙のウェブサイトに50人のフランスを代表するアスリートが署名するメッセージが寄稿された。
ラグビー界からは、ラファエル・イバネス、フレデリック・ミシャラク、アントワンヌ・デュポン、カメロン・ウォキ、ジェシー・トレムリエールの5名が名を連ねている。
「『私はここに、第33回近代オリンピアードを記念するパリ大会を宣言する』この文言で次期大統領はパリ2024を開会することになります。2024年7月26日金曜日、セーヌでの歴史的な開会式で、世界中から集まったアスリートの前で、何百万の人がテレビで見つめる中、この4月24日に選ばれる大統領がこの国を代表することになるのです。そしてこの大統領が数週間後のパラリンピックも開会することになるのです。
私たちはこの歴史的な瞬間が極右政権の下で行われることになるなんて想像できません。
この国の多くの人が困難な状況にあることを十分理解しています。しかし、共和制の価値観を危機にさらす政党に票を投じることは、最も悪い対抗措置になると確信をもっています。
私たちが信じるスポーツ、つまりオリンピックの価値観によるスポーツは、友情と尊敬で成り立っており、異なるものが共生する場であり、差別を拒否するものです。
この不確かな時代でスポーツは人々を結びつける力を持っています。自国のアスリートの活躍に国中が一つになって感動する時がそうです。
私たちはこの博愛的で包括的なスポーツを信じており、その価値観と真逆である、他者を糾弾する偏狭な国家主義の党首がこの国の元首になることを避けるため、4月24日はマクロン氏に投票することを呼びかけます」
この翌日には、フランス国立オリンピックスポーツ委員会が公式に「マクロン氏の政策の方が、国内でのスポーツの発展、大規模な国際競技大会の準備、また国民の健康増進に有益」と発表し、一方、フランス2023組織委員会長のクロード・アチェを含む、柔道やハンドボールなどの協会の会長や、さまざまな競技のクラブチームの会長、経営陣、スタッフなど220名が署名する声明がレキップ紙上でマクロン氏への投票を呼びかけている。
フランスでもスポーツ選手が政治的な発言をすることは稀であり、「勇気ある行動」と称える意見もあれば、批判的な意見もある。
特に注目度が大きいデュポンのSNSのアカウントには彼の今回の行動を批判する投稿も見られる。
フランス女子代表のジェシー・トレムリエールがミディ・オランピック紙に動機について答えている。
「スポーツの価値観と極右の価値観は相容れない。私たちが声を上げることによって、なぜアスリートが国民連合(ルペン氏の政党)に反対しているのか、人々が考えてくれるかもしれない。
私の住むところは田舎で、極右の得票率が高い。私はラグビーのおかげで世界を見て、異なるルーツや異なる宗教の人と交わることができ、ビジョンを広げることができた。
フランスチームにはいろいろな肌の人間がいる。グループを形成するにはいろいろな人が必要。社会を形成する上でも同じこと」