爆走止まらぬコロインベテ ワイルドナイツで誓うフィニッシュへの意欲。
ひとたび走られれば、相手にとっては追いつくのも止めるのも難しいだろう。
マリカ・コロインベテ。身長182センチ、体重96キロとサイズに恵まれスピードは抜群だ。オーストラリア代表42キャップを持つ29歳は、今季から堅守速攻で鳴らす埼玉パナソニックワイルドナイツへ加わり国内リーグワンを席巻している。
「周りの素晴らしい選手に囲まれている。彼らの手助け、活躍が私のプレーにつながっていると思います。ゲームデイにはひとりひとりが自分の仕事を徹底してやり切る。そうすればチームも、自分自身もいいパフォーマンスができます」
昨季は前身のトップリーグで通算5度目の優勝を果たしたワイルドナイツ。今季も開幕からの2試合こそクラスター発生のため不戦敗となったが、第11節までの実戦は全勝をキープ。端側のWTBのポジションを務めるコロインベテも、ここまで4トライ、8度のクリーンブレイクと持ち味を発揮する。
2月19日はホームの熊谷ラグビー場で第6節をおこない、東芝ブレイブルーパス東京を迎える。試合終盤まで18-18と競り合っていたが、要所でコロインベテが際立つ。点差をつける。
後半29分頃、敵陣ゴール前の接点で相手につかみ上げられながらもどうにか地面に膝をつける。プレーの継続を促す。間もなくスコアは25-18と動いた。
さらに続く31分には、ハーフ線付近左で空中戦からのこぼれ球を拾って約55メートルもの力走。左タッチライン際でぐんぐん加速し、ゴール前でなんとか追いついた防御も勢いよく振り切った。30-18。
翌週の26日にも、熊谷で首位の東京サントリーサンゴリアスを相手に痛快な走りを披露。34-17と白星を収めている。
いったいなぜ、このような走りができるのか。
本人はまず、「よく食べ、よく眠ることです」。笑って応じた後に、職責を全うする意識を語った。
「S&Cコーチが素晴らしいスピードワークをしてくれているので、それに則って鍛えています。WTBの仕事は、いいボールをもらったら走り切ることです。(ぶつかり合う)FWがハードワークしたその先に、自分が走り切る。そうすればチームの力になると思い、ランニングを極めています」
5月までのレギュラーシーズンのゴールテープが見え始めており、目下3位のワイルドナイツは4強からなるプレーオフ進出へまい進する。
2023年のワールドカップ・フランス大会での活躍も期待されるコロインベテだが、まずはいまを生きる。
「チームは前半、中盤といいスタートを切れて、ここまで来られています。そして先週はバイウィーク(休息週)を挟み、リフレッシュができた。いい準備ができています。ワールドカップはまだかなり先だと思っている、目の前の試合、目の前のシーズンに尽力しています」
4月9日は熊谷で第12節に臨む。「(近所に)いい焼肉屋さんを見つけました」と異国の暮らしを楽しむ11番は、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス東京ベイ浦安との80分を通し、何度、風を切るか。