国内 2022.04.03

宗像サニックスブルースが涙のホストゲーム最終戦勝利。屋宜主将「熱い気持ちで、最後まで」

[ 編集部 ]
宗像サニックスブルースが涙のホストゲーム最終戦勝利。屋宜主将「熱い気持ちで、最後まで」
後半に2トライを挙げてブルースとファンを盛り上げたカーン・ヘスケス(撮影:松本かおり)


「もう、僕たちは失うものがない。グラウンドに立ったら、思いっきりプレーするだけ。観に来てくれたファンのためにも、絶対に今日は勝とう!」

 今シーズン限りでの活動休止を発表した宗像サニックスブルースが、4月3日、地元・福岡県宗像市のグローバルアリーナでジャパンラグビーリーグワンのホストゲーム最終戦(ディビジョン3・第9節)に臨んだ。
 試合前、ロッカールームで発した屋宜ベンジャミンレイ主将の言葉にチームは奮い立ち、一丸となって戦い、清水建設江東ブルーシャークスに40-38で逆転勝ちした。

「今週は会社からつらい発表がありましたが、選手たちはいい準備をして、最後のホームゲームで勝利を収めることができました。がんばってくれた選手たちを誇りに思います」
 トップリーグ(前身リーグ)歴代最年長出場記録を持つサニックスのレジェンドで、今季から指揮を執る松園正隆監督は、試合後の会見でそう言って胸をつまらせていた。

 宗像サニックスブルースの選手はそれぞれ、特別な思いで臨んだ試合だった。清水建設江東ブルーシャークスには2月に東京で対戦したときに敗れており、厳しい戦いになるのはわかっていた。

 一方のブルーシャークスのこの日の試合テーマは『本気』。「サニックスは俺らに対して本気でくる。本気のサニックスに対して、本気で勝ちにいく」と、こちらも闘志を燃やした。

 最初の40分間を優勢に進めたのは清水建設江東ブルーシャークスだった。
 前半だけでCTBジョンベン・コッツェがハットトリックを達成。14分に自陣から継続したチームアタックをフィニッシュすると、38分にはFWがスクラムで奮闘したあとボールを展開してBKが躍動し、背番号13がゴールに持ち込んだ。そしてハーフタイム前にも攻め込み、SOオルビン・レジャーのディフェンス裏へのキックに反応したコッツェがこの試合3度目のトライゲッターとなった。

 一方、チャンスをつくりながらもなかなか相手の粘り強い守りを崩せなかった宗像サニックスブルースは、SOコビー・ミルンがペナルティゴール(PG)で得点を重ね、9-24で折り返した。

 そして後半、ブルースプライドを持って反撃に出た男たちに対し、清水建設江東ブルーシャークスは反則を繰り返し、44分(後半4分)、イエローカードが出る。

 数的有利となった宗像サニックスブルースは49分、ゴール前で、7人相手のスクラムで圧倒し、NO8スコット・カリーがトライを挙げた。さらに、55分には守りで踏ん張ってボールを奪い返すと、CTBトロケ マイケルが大きくゲイン、敵陣深くに入ってワイドに展開し、右外にいた元日本代表のWTBカーン・ヘスケスがタックラーを振り切りインゴールに持ち込んだ。そして、優秀なゴールキッカーであるSOミルンが難しい位置からのコンバージョンを決め、23-24、1点差となった。

 活気づいた宗像サニックスブルースは、58分にもトロケのブレイクスルーからチャンスとなり、パスをもらったWTB高野恭二が逆転トライを決める。その後、ミルンがブーツで加点し、33-24となった。

 清水建設江東ブルーシャークスも食らいつき、66分に7点を奪い返したが、地元ファンの応援を受けたホストチームは70分、接点からボールを持ち出したヘスケスがまたも力強い走りで値千金のトライを挙げ、会場を沸かせた。もちろんそれまでには、チーム一体となってのハードワークがあった。ミルンは成功率100%で8本目のゴールキックを決め、貴重な2点を追加。

 粘る清水建設江東ブルーシャークスが終盤にもトライを挙げるなどして再び2点差になり、最後までプレッシャーをかけ続けたが、宗像サニックスブルースがリードを守り切り、熱闘はノーサイドとなった。

 試合後、屋宜主将がファンにあいさつをするとき、宗像サニックスブルースには涙を流す者もいた。そして、選手、スタッフたちはグラウンドを一周し、いつまでも続く拍手と「ありがとう」というファンからの言葉に、胸をつまらせていた。

「僕たちは愛されてて、これだけ応援してくれている人がいるんだなと改めて思いました」
 屋宜主将はそう振り返る。宗像サニックスブルースとして戦うのは、順位決定戦も含めて残り3試合。
「ファンの皆様に、感謝の気持ちをラグビーを通して伝えたいと思っています。現地に観に来てくれる人たち、そして、テレビで観てくれる人たちに、おもしろい試合を見せたい。残り試合も全力で応援してもらえるように、がんばっていきます。熱い気持ちで、最後の1試合まで戦い抜きます」

試合後、ファンにあいさつする主将の屋宜ベンジャミンレイ。前半に負傷し松葉杖姿(撮影:松本かおり)

 同日、広島県のバルコムBMWスタジアムでは同じディビジョン3の中国電力レッドレグリオンズ×クリタウォーターガッシュ昭島がおこなわれ、レッドレグリオンズが34-26で制し、リーグワン実戦初勝利を手にしている。

 序盤に相手に2トライを許し、14点ビハインドとなった中国電力レッドレグリオンズだが、前半23分、CTBシオペロロ・タヴォがパワーでゴールラインを割り、反撃開始。
 その後、再び突き放されたが、ハーフタイム前にもゴールに迫り、ディフェンスをひきつけたNO8河口駿のマジックハンドからFL森山皓太のトライが決まり、14-19で折り返した。

 活気づいたレッドレグリオンズは48分(後半8分)にもゴールに迫ると、NO8河口が密集を飛び越え、19-19の同点となった。

 そして、相手にイエローカードが出て数的有利だった57分には、FB荒井基植が好走してチャンスをつくり、ゴール前でCTB山口莉輝につないで勝ち越しに成功した。

 65分には力強いドライビングモールから得点し、リードを拡大。
 その後、クリタウォーターガッシュ昭島にトライを許して5点差に詰められたが、試合終了間際にSO市原編夢がペナルティゴールを決め、まもなく、歓喜の瞬間を迎えた。

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