2回戦屈指の好カードは、中部大春日丘に軍配。盟友・京都成章から公式戦初勝利を挙げる。
分厚い壁を破った。
タイトな接戦を勝ちきったことはもちろん、今季の自分たちのスタイルに自信を深めるという意味でも、大切な価値のある一勝だ。
3月26日に行われた全国高校選抜大会2回戦。屈指の好カードとなったBグラウンド第4試合で、中部大春日丘(愛知)が京都成章(京都)を20-13で倒し、準々決勝進出を決めた。
先にスコアを挙げたのは春日丘だった。開始3分、CTB黒埼柊希が左中間約25メートルのPGを決め、3点を先行する。
しかしそこからは一転して成章ペースに。5分にスクラムサイドを個人技で抜け出したSH香山創祐がトライを挙げ逆転すると、15分にも連続攻撃からWTB永瀬由太郎がフィニッシュし、リードを広げる。21分にはFB本橋尭也がゴール正面のPGを決め、13-3に。
そのまま成章がたたみかけそうな場面だったが、春日丘もここで真価を発揮する。新たに取り組んできたというシャローディフェンスでビッグタックルを連発して反撃に転じると、25分にゴール前のスクラムからBKに振ってWTB小池将聖がトライ。
なおも攻め立てて終了間際にCTB黒埼が2本目のPGを加え、13-13のイーブンに戻してハーフタイムを迎えた。
後半に入るとさらにコンタクトの激しさが増し、お互いの意地が真っ向からぶつかる拮抗した展開が続く。あと一歩でピンチをしのぎ合うような息詰まる流れの中、ついに均衡が敗れたのは26分だった。
春日丘がゴール前のラインアウトからFW戦で前進し、近場を粘り強く攻め続けて最後はPR中村大飛が左中間にトライ。コンバージョンも決まって20-13とこの日初めて先行すると、終盤も集中力高くゲームをコントロールして成章の反撃を封じる。
そのままリードを守りきり、フルタイムを迎えた。
合同練習や合宿など普段から交流の深い両校。中部大春日丘にとってはこれが京都成章からの公式戦初白星で、第20回大会以来3大会ぶりの選抜ベスト8進出と、記念すべき一日になった。
今季は前年度からのレギュラーが11人残り、「去年の経験はやはり大きいですよね」と宮地真監督は手応えを口にする。愛知県大会は準決勝以降、東海大会も決勝が中止になり、厳しいゲームを経験できないまま臨んだ今大会だったが、接点の強さに定評ある京都成章とフィジカルバトルで互角に渡り合い、特にディフェンスで前に出られたことは、チームにとって大きな自信になるだろう。
3月28日の準々決勝の相手は東福岡(福岡)。全国随一の展開力を誇るタレント軍団に対しどこまで防御で圧力をかけられるかが楽しみだ。
一方、花園ベスト8の昨季から13人が入れ替わった京都成章。この日はゲーム経験の少なさからか勝負どころを仕留めきれず、痛恨の敗戦を喫したが、PR森山飛翔、FB本橋尭也ら前年からのレギュラーに加え、新2年のSO太田陸斗ら下級生にも力のある選手は多く、自分たちのリズムで攻めた時のスピードと推進力は、今後への可能性を感じさせた。
「迷いがあったり、普段と違うことをやったり、悔いの残る試合ですよね。でも練習試合も含めてこれが3試合目で、ゲームを経験できたことが一番。ここからです」と湯浅泰正監督。
こちらも今後の成長が楽しみなチームだ。
【第23回全国高校選抜大会 2回戦までの結果】
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