欧州番記者チェック。走るアイルランドか、はじけるフランスか。シックスネーションズ優勝のゆくえは週末の最終節で
2022年シックス・ネーションズが今週末に最終節を迎える。優勝の可能性があるのは2チーム。本命フランスと、下馬評通りに新たな強さを見せつけてきたアイルランドだ。両国の対戦は2月に終わっており(フランス30-24アイルランド)、最終節はフランスがイングランドと、アイルランドがスコットランドと戦う。WOWOWで全試合が独占放送&ライブ配信される大会から、フランスの内幕レポートでお馴染みの福本美由紀氏が優勝争いをチェックする。
2月5日に開幕した今年の欧州6ネーションズもこの週末最終節を迎える。第4節を終え、ここまで全勝のフランスと、そのフランスに1敗を喫したアイルランドの2チームで優勝が争われる。開幕前の予想通りの展開となった。両チームに共通しているのは、昨年11月にNZを降し、自信をつけ勢いに乗っていたところだろう。
フランスは初戦でイタリアに37-10と手堅くボーナスポイントを獲得して勝利した翌週、スタッド・ド・フランスの約8万人の観衆の前でアイルランドとの接戦を制し(30-24)、スコットランド戦では6トライを決め圧倒的な攻撃力を見せ、マレーフィールドで8年ぶりの勝利(36-17)をものにした。
しかし先週末のウェールズ戦は一転して閉塞的な試合となった。開始8分のFLアントニー・ジュロンシュのトライの後は、ウェールズの戦術的なキックで何度も後退させられながらも、強固なディフェンスでゲインラインを越えさせず、またディシプリンの高さでウェールズSOダン・ビガーに得点のチャンスを与えず逃げ切り(13-9)優勝に王手をかけた。ウェールズが6ネーションズのホームの試合でトライを取れなかったのは13年ぶりだ。
一方アイルランドは、初戦でウェールズに29-7のスコア以上の強さを感じさせて勝利、翌週フランスに敗れるも、第3節は60分間を13人で戦うことになったイタリア相手に9トライを決め57-6と力の差を見せつけた。
第4節のイングランド戦は、開始早々にLOチャーリー・ユールズのレッドカードで14人となったイングランドの果敢な戦いぶりに阻まれはしたものの、70分過ぎてイングランドの選手に疲れが見え始めると2トライ決め、ボーナスポイントをとって勝利、優勝への望みを繋いだ。
アイルランドはもともと強いFWと正確なキッカーで、ハイパントを多用しピック&ゴーを繰り返し、ゴール前ラインアウトモールからトライをとる印象が強かったが、アンディー・ファレルがHCに着任して以来、パスを繋ぎボールを生かすようになり攻撃の幅が広がった。テンポ良く球出しをしてプレーにスピードをつけるSHジェイミソン・ギブソンパークの起用が効いている。