イングランドで、『異なる立場』の若き日本人対決が実現。
背番号「12」、みどりのヘッドキャップを着けた日本人選手がノーサンプトンのフィールドを駆けた。
エクセター・チーフス・ウィメン(Exeter Chiefs Women)の小林花奈子(株式会社-en/エン所属)は、イングランド最高峰の女子リーグ『Premiers 15s』でプレーする日本人選手である。
2022年2月19日。この日は対戦相手のラフバラ・ライトニング(Loughborough Lightning)が、昨年、男子プレミアシップのノーサンプトン・セインツと包括的パートナーシップを締結して以降、初となる男女クラブのダブルヘッダーがおこなわれた(ホーム=シンクスタジアムにて)。
そのため、日本でもブロンドヘアのSHとしてお馴染みの南アフリカ代表、ファフ・デクラーク(セール・シャークス)らがファンを魅了した30分後には、小林選手らが同じピッチへ。
ラグビーファンにとってはたまらない一日だった。
試合は戦前の予想通り、両者一歩も譲らぬ締まった展開となった。
小林は序盤から攻撃の起点役となった。ラン、パス、キックを織り交ぜ、チームに良いリズムを与える。トライアシストもマークした。
80分過ぎに劇的な逆転トライを与えてチームは敗北するも、堂々のプレーで小林はフルタイム出場を果たした。
貢献度は高かった。
試合後は冷静な試合の振り返りに加え、今秋開催されるラグビーワールドカップ2021(女子ワールドカップ)にも触れた。
「日本と比べてフィジカル面が強く、ロングパス、トランジション時の切替えといったスキル面のレベルが高い。ワールドカップに向けて(成長するため)ここに来たので、外国出身選手のような(高い基準のフィジカル、スキル両方を持ち合わせた)プレーヤーに成長して日本に戻りたい」
対戦相手のラフバラ・ライトニングに目を向けると、鈴木理沙子分析担当が、男子・女子ラグビーのインターンスタッフとして活躍していた。当日もチームをオフザピッチからサポートしていた。
現在ラフバラ大学の4年生で『スポーツ&エクササイズサイエンス』(Sport and Exercise Science)を専攻しつつ、大学の男子(BUCS Super Rugby/大学ラグビーリーグ)と女子チーム両方において、相手チームの分析や映像編集などでチームを支える重要な存在となっている。
広島県生まれの彼女は、中学3年時に父の転勤が理由でイギリスに。もともとハンドボールなどスポーツ経験はあり、2015年ラグビーワールドカップイングランド大会の現地の盛り上がりを見て、ラグビーに興味を持ったという。
大学卒業後もラグビーを支える立場で携わりたいと力強く語っていた。
バックグラウンドの異なる日本出身の2人の女性がノーサンプトンの地で間接的に相対したシーンは、大きくは語られない。
しかし、日本の女子ラグビーにとって大切な日となった。