国内 2022.02.22

昨年プロ転向&日本代表デビューの中野将伍。東京サントリーサンゴリアスで成長を実感。

[ 向 風見也 ]
昨年プロ転向&日本代表デビューの中野将伍。東京サントリーサンゴリアスで成長を実感。
1月16日のヴェルブリッツ戦でゴールラインに迫るサンゴリアスの中野将伍(撮影:松本かおり)


 約1年半の会社員生活を経て、念願のプロラグビー選手になったのは昨年7月のことだ。東京サントリーサンゴリアスの中野将伍は、「自分のトレーニング、ケアに(多くの時間を)使える」。進化を実感する。

「僕はどちらかというと、練習が休みの日も身体を動かすほうです。自分の足りていない部分についてS&Cコーチにメニューを作ってもらったり、実際に(トレーニングを)見てもらったり。いまは、去年の同じ時期と比べるとトレーニングの時間や量は増えている。ラグビーの面でも、身体の面でも――数値的にはわからないですが――成長できている感覚はあります」

 東筑高を経て早大入り。大学日本一に輝く2019年度までに、アスリートとしての意識を醸成した。

 寮での夕食後にスーパーで鶏むね肉を購入し、レンジで温めて頬張った。最近では、朝食をオートミールと無脂肪ヨーグルトのみと定めているようだ。ストイックに身体を作る。

「自分のなかでは、脂肪を落として筋肉をつけるために…と。もともと食べたら食べた分だけ体重が増える感覚があったので、太り過ぎないように」

 24歳。外側のCTBとWTBを主戦場とする。身長186センチ、体重100キロの強靭な身体で防御の壁にぶつかり、オフロードパスを操る。

 昨秋は日本代表に初参加。ここでも持ち味を発揮したが、防御で課題を残した。

 11月20日、エディンバラはマレーフィールド。スコットランド代表戦に13番で先発も、前半終了間際に失点を招く。自陣ゴール前で、向かって左側のスペースを破られたのだ。

 ここでは、相手ボールスクラムからの展開に対峙していた。最初の立ち位置が理想のそれよりもやや右寄りになっていたことで、逆側への反応がやや遅れたという。

 ハーフタイムに交代を告げられ、「もう少し試合には出たいという気持ちはありました」。試合は20-29で敗れた。

「スコットランド代表戦では、(相手の)コンタクトエリアでの激しさが(それまで体感したものと)違いました。状況判断で、あまりうまくいかない部分もあった」

 経験を活かしたい。都内の本拠地へ戻ると、同僚でオーストラリア代表CTBのサム・ケレビらと個人練習。世界有数の走者と対峙することで、防御時のポジショニング、間合いの詰め方を修正したい。

「(ケレビが)対面に立つと、動きが他の選手と違う。このこと(個人練習)によって、海外の選手にも対応できるようになれればと思います」

 出世街道を突き進む。知名度は上がる。最近では、「いい面でも、悪い面でも、見られているな」とも自覚する。

 1月16日、東京・味の素スタジアムでリーグワンのディビジョン1・第2節に挑む。トヨタヴェルブリッツを50-8で下したが、悔やまれるシーンで話題を集めてしまった。

 前半26分頃だ。左端のスペースを駆け抜け、トライラインの手前で中央に回り込む。それを対するFBのウィリアム・トゥポウに捕まり、落球した。

「いままでああいうこと(ミス)をしたことはなかった。今後はないようにと、反省はしました」

 もっとも試合中は「次のプレーで取り返そう」と切り替えられたし、時間が経てば「いい意味で、気にしすぎないことも大事かな…と」。もちろん、技術的側面からのレビューは忘れない。同時に、外野に飛び交うさまざまな声とは適度な距離を取る。

 ディビジョン1は6節まで消化。3節以降は欠場が続いたが、取材に応じた2月上旬時点では「試合に出て活躍したい思いがあるので、常に準備はしています」と笑顔だった。

「積極的にボールをもらいにいき、突破でも、オフロードパスでもインパクトを残す。ディフェンスでもフィジカルに、激しくプレーしたいです」

 26日は埼玉パナソニックワイルドナイツとの第7節を、敵地の熊谷ラグビー場でおこなう。昨季のトップリーグの決勝と同カードにあって、伸び盛りの大器が力強さを示すか。

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