国内 2021.12.13

朝鮮大が13トライ、85-10で東京農業大下し2部残留。国士舘大も残留へ。

[ 見明亨徳 ]
朝鮮大が13トライ、85-10で東京農業大下し2部残留。国士舘大も残留へ。
朝大HO李明樹(写真・右端)は、モールからこの日4トライ目を決めた(撮影:見明亨徳)


 関東大学リーグ戦は12月12日、2部以下の入替戦をおこなった。2部7位の朝鮮大は3部2位の東京農業大をホームに迎えた。

 試合は開始から朝大が、「最初の10分間が大事」と主将LO金誠宇(きむ・そんう)がチームに声をかけた通り支配した。スタートは2分、FB金慶生(きむ・ぎょんせん)がトライ、自らコンバージョン成功。5分はHO李明樹(り・みょんす)がトライし12-0とする。前半だけで7トライ5ゴール、45-0と試合を決めた。

 後半も金主将が掲げた3つの目標「ブレークダウンの攻防」「自分たちのラグビーを貫く」を実践し、6トライ5ゴールで40点を追加した。HO李はひとりで4トライを挙げる活躍。
 東農大は、終盤の26分と35分に右ラインアウトから2トライを奪った。
 勝った朝大の金主将は、「後輩たちを2部に残すことができて良かった。最後にトライを取られたことは課題ですが、後輩たちが来年、修正してくれるでしょう」と笑顔で終えた。

 今年の朝大は昨年度の全国高校大会で4強に入った大阪朝鮮高から当初7人が入部、ルーキーたちの刺激もあった。そのひとり、金秀鎮は司令塔SOでゲームを作る。「最初WTBで入ったが途中でSOに。もともとパスが下手で余裕が無かった。パスを練習してレベルが上がると試合中、前を見ることはできるようになった。自分の得意のランも出せるようになりました」と自信を得た。
 唯一のラグビー未経験者、愛知朝高出身の閔宰東(みん・じぇどん)もLOでリザーブに入り、後半23分からピッチに立った。「大阪の同期たちには自分がラグビーを始めてからずっと教えてもらっています。成長過程でつまずいた時にこうしたらいいとアドバイスをくれる」とラグビーマンの顔になった。「朝鮮大だからラグビーができました」
 呉衡基(お・ひょんぎ)監督も満足。「2部の強いチームと戦ってきたことが経験値になっていた。けがもあったけれど選手たちは成長しました」

朝大1年生たちは戦力に成長(撮影:見明亨徳)

 朝大の試合終盤の課題は東農大にとっては大きな収穫だ。後半23分、朝大が80点を決めた時、東農大インゴールから「来年につながるトライを取りましょう!」と声が上がった。「2年生の声だから」と上級生も一体になれた。26分は1年生WTB藤澤栄作、32分は4年生の三浦寛海のトライにつなげた。
 小野崎慧監督は「個々のフィジカルの差が大きかった」と完敗を認めた。「3部は、チーム間の実力差は拮抗しています。来季、昇格する千葉商科大(4部1位、3部8位の国際武道大が入替戦棄権)と練習をしましたが良いチームです。フィジカルを鍛えていきたい」。最後の2トライを来季につなげたい。

東農大は終盤2トライを奪い返し来季へつなげる(撮影:見明亨徳)

 母校の最終戦、両校OBや父母たちもグラウンドへ。朝大を2年前に卒業した金秀隆(きむ・すりゅん)も両親(金一九さん、金尚美さん)と、弟・秀鎮たちの躍動を見守った。「自分たちの時よりもうまい。自信を持って自陣からボールを回している。きょうは初心に帰ろうと思い訪れた」。昨年度最後のトップリーグ、クボタスピアーズFBとして新人賞を獲得した。来年1月7日に始まる新しいリーグワンで飛躍を誓う。

金秀鎮の応援に兄の秀隆(クボタFB)、両親も駆けつけた(撮影:見明亨徳)
朝大ファミリーが2部残留を祝う(撮影:見明亨徳)

 2部・3部入替戦のもう1試合は、国士舘大(2部8位)が防衛大(3部1位)を後半突き放し、34-7(前半10-7)で残留を決めている。

■関東大学リーグ戦 3部・4部入替戦
・千葉大(3部7位) 25-12 駒澤大(4部2位) ※ 千葉大は3部残留
・国際武道大(3部8位)- 千葉商科大(4部1位) ※ 武道大が棄権。千葉商科大が3部昇格

■関東大学リーグ戦 4部・5部入替戦
・埼玉工業大(4部7位) 14-36 順天堂大(5部2位)
・創価大(4部8位) 24-80 新潟食料農業大(5部1位)
※ 順天堂大、新潟食料農大が4部昇格

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