国内 2021.11.17

リーグ戦4連覇へ 東海大・武藤ゆらぎが課された「10番を背負う意味」

[ 向 風見也 ]
リーグ戦4連覇へ 東海大・武藤ゆらぎが課された「10番を背負う意味」
11月7日の法政大戦でプレーする東海大の武藤ゆらぎ(撮影:松本かおり)


 結果が出ても反省する。

「収穫は自分たちの強みであるセットプレーでトライを取りきれたこと。課題は個人としてはプレーの精度、チームとしてはペナルティが多く、それが失点につながったことです」

 東海大ラグビー部2年の武藤ゆらぎは、11月7日、4連覇を目指す関東大学リーグ戦1部の5戦目に先発する。東京・八王子市上柚木公園陸上競技場で、前年度4位の法大に64-26で勝利。しかし、司令塔のSOとして内容に納得できなかったか。

 序盤、陣地の獲得合戦で後手に回ったか。その延長で反則がかさみ、13分までに0-6と2本のペナルティゴールを決められた。

 4年生FBの野口幹太によると、チームはもともと「最初は普通に(シンプルに自陣から)脱出…と考えていた」。しかし、向こうがキック対策のため後ろの守りを厚くしていると感じた。まずボールを持って攻め、次のプレーに移ろうとマイナーチェンジを図った。そうして攻める過程で落球を重ね、自陣から脱出しづらくなったのだ。

 もっとも時間を重ねるごとに、お家芸のセットプレーで流れを取り戻す。

 1点リードで迎えた前半20分頃、自陣中盤右での相手ボールスクラムからフリーキックを得る。法大が、レフリーの合図よりも早く組んだと見られた。

 東海大はここで、いくつかある選択肢のうちスクラムを選択。最前列の面々は、組み合う前から股関節と膝を深く曲げる。

 ぶつかった際、膝の位置は相手の前列のそれよりも低く、その位置から太ももにかけてのラインはグラウンドと垂直。これなら、後ろからの力が前に伝わりやすい。東海大FWが押す。法大FWの腰を浮き上がらせ、ペナルティキックを得た。

 敵陣へ進むと、インサイドCTBの丸山凛太朗が走って法大のハイタックルを誘う。かくして迎えた25分、敵陣ゴール前右でモールをプッシュ。スクラムで奮闘したFW陣がここでも力を示し、14-6と点差をつけた。

 続く28分には自陣からの連続攻撃を機能させ、21-6とする。点差がついてからはやや打ち合いの様相を呈したが、東海大が開幕5連勝を決めた。木村季由監督は言う。

「うまくいかない時間帯もあったと思いますが、自分たちで修正しながら試合をやり切れたのは収穫です。課題は、たくさんあります。まだまだ精度を高めなければいけないプレーがあります」

 1年時から主力の武藤。法大戦前の2試合では、ある宿題を課されていた。

 今季、武藤の入学前に正SOだった丸山と一緒に試合をコントロールしていた。状況判断力に長けたバディと組むことで、持ち前のランニングスキルを存分に発揮できていた。

 しかし、10月中旬から下旬にかけての専大戦、中大戦で、丸山は欠場。木村監督は武藤に期待した。

「この2試合で10番(先発SO)を背負う意味を、課題として求めている。どう(プレーを)表現するか、全体を引っ張るか…」

 結局、71-0、74-7で連勝する。

 特に埼玉・セナリオハウスフィールド三郷での中大戦では、相手SOの津田貫汰との蹴り合いで魅した。

 21-0のスコアで迎えた前半26分頃。互いに自陣の22メートル線付近に位置し、ラリーを重ねる。

 2往復目だ。津田のロングキックを捕球した武藤は、それまで双方が蹴っていたロングキックよりやや低い弾道を放つ。球は津田の手前でバウンドする。キャッチにやや時間がかかる。

 その間、津田の手前には、東海大FBの野口がチェイスに来ていた。津田は首尾よく蹴り返すが、余裕を持って捕球した武藤は一転して攻め上がる。中大の防御ラインがせり上がったのを見て、その裏側へ2往復目のキックよりもさらに低い一発を蹴る。

 ボールは、敵陣10メートル線付近右のスペースへ転々と転がる。タッチラインの外へ出て、東海大にとって「エリア勝ち」と言える状況ができた。

 その他の場面で武藤は、持ち前のフットワークも披露。指揮官は褒めた。

「(武藤は)気負っているところもあったと思いますが、彼らしく勝負するところは勝負して、FWを前に出す時は前に出す…とできていた」

 丸山不在のなかで試合をした経験について、当の本人は「いままでは(丸山に)頼っていた部分があったんですけど、前回、前々回、自分がゲームメイクをしてチームを勝たせることを意識していました」。自身がいいプレーをするだけでなく、仲間のいいプレーを引き出すプレーメーカーになりつつある。

 以後も、白星を重ねながら課題をつぶしてゆく。21日には東京・江東区夢の島競技場で前年度3位の日大とぶつかる。

PICK UP