国内 2021.11.10
車いすラグビー国内公式戦が再始動。次世代を担うルーキーが躍動

車いすラグビー国内公式戦が再始動。次世代を担うルーキーが躍動

[ 張 理恵 ]



 日本代表のエース・池崎大輔(TOKYO SUNS)は「銅メダルの悔しさを引きずっている」と現在の心境を率直に語り、「現実と向き合いながら、再スタートを切るきっかけになれば」と大会に臨んだ。

 チーム最年少の19歳でパラリンピック初出場を果たした橋本勝也は「クラブチームで大会に出場できることがうれしい。代表で得たものは大きいがクラブチームでもやることは変わらない。まずは日本選手権に向けて調整したい」と声をはずませた。

「目標は世界一のプレーヤーになること。プレーだけではなく人として誰からも頼られる存在になりたい」
 その宣言通り、仲間に声をかけながらアグレッシブにコートを駆け回った。

 日本代表が東京パラリンピックで見せた情熱あふれるプレーは人々を魅了し、日本の車いすラグビー界に変化をもたらしている。
 連盟には、「パラリンピックをテレビで観てファンになった」、「今までは観客として見るだけだったが、もっと競技に携わりたい」と、ボランティアや競技スタッフを希望する声が200件近く寄せられたという。

 また、Fukuoka DANDELIONの工棟(くどう)徹キャプテンによると、パラリンピックの試合が地上波で放送された反響は大きく、クラブチームにはリオ大会時の何倍もの問い合わせがあり手応えを感じていると話す。
 実際に今大会では抽選で選ばれたボランティアが試合中にモッパーを務め、同時に審判やTOの講習会も実施された。

 競技においても、ナショナルチームの強化がクラブチームのレベル向上に確実につながっている。
 特にパラリンピック後、育成合宿をいち早く始動したことで、競技歴の浅い若手選手の基礎レベルや意識が高まり、それが日本全体の底上げと競技の活性化を生み出している。

 さらには、車いすを始めたばかりのニューフェイスたちが躍動したことも今大会の大きな特徴だろう。
 この1年間で4チームに新人選手が加入、4人全員が公式戦初出場を果たしトライでデビュー戦を飾った。
 ルーキーたちに共通しているのは「日本代表選手に憧れて」車いすラグビーを始めたことだ。

 怪我で入院していた病院で中町俊耶に声をかけられたという若狭天太は、今年4月に中町がキャプテンを務めるTOHOKU STORMERSに加入。「中町選手に憧れてチームに入った。中町選手のようなかっこいいプレーヤーになりたい。そして抜きます!」と、意気揚々と決意を語った。

 高校1年生の青木颯志(AXE)は先月10月に選手登録をしたばかり。初の公式戦出場も「楽しむことができました。全然緊張はしなかったです」とすでに大物の器を見せ、「1対1とか2対2の駆け引きが楽しい。車いすバスケとは違いタックルもできるのが面白い」と堂々とコメントした。

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