日本代表 2021.11.08

2年ぶりのテストマッチは5-23。サクラフィフティーン、ウエールズに敗れるも成長の道へ踏み出す。

[ 編集部 ]
2年ぶりのテストマッチは5-23。サクラフィフティーン、ウエールズに敗れるも成長の道へ踏み出す。
ボールタッチも多かったWTB名倉ひなの。(Huw Evans Picture Agency)
熱心なファンがスタンドに足を運んだ。(Huw Evans Picture Agency)



 体格差ほどスコアは開かなかった。
 11月7日(日本時間: 8日午前2時キックオフ)に女子15人制ウエールズ代表と敵地(カーディフ・アームズパーク)でテストマッチを戦った女子日本代表(サクラフィフティーン)は、5-23で敗れた。

 相手に3トライを与え、こちらは1トライ。よくタックルし、よく攻めるも、サクラフィフティーンにトライラインは遠かった。
 特に前半、ラインアウトが乱れた。攻撃を継続はできても効果的に前進を図れず、ボールポゼッションで相手を上回るも得点に結びつけられなかった。

 唯一のトライは0-23とされていた後半37分。PKを敵陣深く蹴り込んだ後のラインアウトから攻めた。
 相手反則から得たPKは速攻を仕掛けた。最後はラックからFL齊藤聖奈がインゴールに押し込んだ。

 サクラフィフティーンはキックオフ直後、先制点を許した。パスミスの処理時にプレッシャーをかけられてPKを与える。
 その後のラインアウトからモールを組まれて押し切られた(2分/0-5)。

 ただ、粘り強く守った。そして、時間が経つにしたがって落ち着いていった。2019年11月以来、2年ぶりの試合も、崩れなかった。
 ただ、スクラムでの圧力は避けられなかった。28分、33分とコラプシングからSOエリノア・スノーシルにPGを決められて0-11でハーフタイムを迎えた。

 後半は、セブンズ英国代表として東京オリンピックにも出場したスピードスター、FBジャスミン・ジョイスに2トライを許した。
 14分、33分とも、攻守の切り替え時に攻め切られた。

 チームのボールキャリー数やポゼッションで上回りながら勝てなかったのは、プレーの精度が足りなかったからだ。
 攻撃を重ねた後、ミスや反則でプレーが途切れることが少なくなかった。

 しかしレスリー・マッケンジー ヘッドコーチ(以下、HC)は、結果を悲観することはなかった。
 2年のブランクのうちに台頭した若い選手たちが国際舞台で経験を積んだことが大きいとした。
 チームとしての経験値も高まった。「結果は残念も、フィールド上で学ぶこと、収穫が多かった」とした。

 ハーフタイムのロッカールーム。同HCは指示の声などを発せず、選手たちの時間にした。
「自分たちで会話し、どう立て直すかを見たかった」と話す。
「初キャップの選手も、キャップ数が少ない選手も多くいる。ミスから学ぶ。ゲームを理解することが大事」

 HCは11か月後のワールドカップに向け、自分たちで問題解決していけるチームに成長させたい。
「すべての時間が学び」と言う。

 このツアーでは、対スコットランド、対アイルランドと、あと2試合のテストマッチを戦う。
 初戦で出た「チャンスやモメンタム(勢い)をどう作るか」の課題を解決するとともに、圧力の強い中でのプレー精度の向上を目指す。
 そして、個々の結びつき、チームとしての対応力を高める日々にしたい。

 序盤こそ大きな相手のパワーに面食らったところもあったが、80分のうちに向上した点もたくさんあった。
 帰国時には、さらに力強さと引き出しを増やしているだろう。その成長の幅は、相手が強力なほど大きくなりそうだ。

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