日本代表 2021.11.03

カーベリー、忘れ難き終了間際のキック。アイルランド代表の世代を繋ぐ司令塔たち

カーベリー、忘れ難き終了間際のキック。アイルランド代表の世代を繋ぐ司令塔たち
手首の怪我も癒えた。7月の日本との対戦でも先発SOを務めたカーベリー(Photo/Getty Images)

 日本と対戦前のワールドラグビーランキングでは世界第5位のアイルランド代表が、ホームのアビバ競技場に、第10位の日本代表を迎える。アイルランド代表の今年の戦績は、シックスネーションズでは3勝2敗で3位に終わり、夏のテストシリーズではダブリンで日本代表を39―31で下し、翌週にアメリカ代表を71−10で大破している。

【WOWOW×ラグビー日本代表】アイルランド戦(11/6)とスコットランド戦(11/20)を生中継!

 主将を務めるのは、36歳の大黒柱、ジョナサン・セクストン(SO)。11月6日の日本代表戦でアイルランド代表100キャップ目となる記念試合だけに、激しく燃えるものがあるだろう。

 ブレイブ・ブロッサムズ(世界でのラグビー日本代表の愛称)とアイルランドには、激しい因縁がある。

主将として日本と対峙するジョナサン・セクストン。カーベリーの出身大学であるUCD(アイルランド国立大ダブリン校)の先輩でもある(Photo:Getty Images)

 2019年9月28日。

 ワールドカップA組での1位通過本命とされたアイルランドは、 静岡の地で不覚をとられた。この試合、負傷欠場していたセクストンに変わってスタメンの司令塔を務めたのは、ジャック・カーティ(当時27歳)。試合開始早々、カーティがゴール前に上げた絶妙なキックを、ギャリー・リングローズ(CTB)が見事にキャッチ。そのままゴールラインに持ち込み、先制トライを挙げた。

 だが、その後日本代表の素晴らしい戦いぶりにより、12−19で敗れたアイルランド代表。後半から出場した当時23歳の若き天才、ジョーイ・カーベリーは予想に反して大苦戦を強いられた試合での出場となった。

 セクストンの11歳下のカーベリーは、アイルランドラグビーの次世代の司令塔として、エリート街道を歩んできた。代表では、カーティよりも上の序列の選手だったが、クラブの試合での負傷のため、ワールドカップにはギリギリで間に合うというコンディションだった。

 試合終了時にグランドに立っていた若き司令塔は、19−12で負けている状態で自陣ゴールライン上でボールを受け取り、タッチキックを蹴って試合を終了させるという選択をした。「なぜ引き分けを狙って最後まで戦わなかったのだ?」という声も聞こえたが、実は7点差以内の敗戦では、「惜敗ボーナスポイント」という勝ち点が1点与えられる為(勝利で4点、引き分けで2点、4トライ以上で1点)、カーベリーは1点を確実に取る選択をした。この日の日本代表の戦いぶりからして、自陣ゴールライン上からトライをとることなど100パーセント不可能だと分かっていたからだ。

 司令塔の隣のCTB陣のなかで一番強烈な走りを見せるのは、バンディ・アキ(178cm、102kg)。

 南太平洋の血を持ち、ニュージーランドのオークランドで生まれ育った、31歳(31キャップ)の脂の乗った名選手だ。23歳でスーパーラグビーの強豪、チーフスとプロ契約を結んだ。その後、アイルランド共和国のコナートのクラブで活躍、居住年数で代表資格をクリアし、緑のジャージを着てテストマッチを戦っている。

 11月6日のダブリンの町には、2年前に静岡の地で忘れられない敗戦を目撃したアイルランドのサポーターが溢れているだろう。だが、ブレイブ・ブロッサムの戦士たち、そして欧州に住む日本代表サポーターたちも、今年の7月3日の惜敗を忘れていない。

 日本代表の秋の欧州遠征。どんな戦いが、待ち受けているのだろうか。世紀の一戦は、11月6日午後10時、ダブリンのアビバ競技場でキックオフを迎える。

NZ出身、SRチーフス連覇を支え、アイルランドへ。2019年、今年7月の日本戦ともに出場機会なし(Photo:Getty Images)


「アイルランドvs日本」、11/6(土)夜9:45~WOWOWで生中継!

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