モールとラスト20分の我慢比べで勝つ。セコムラガッツ、今季ホーム2連勝
リーグ最強のスクラムを誇るセコムが、横河武蔵野に互角勝負を仕掛けられ、モールとラスト20分の我慢比べで粘り勝ちした。
10月16日、セコムラガッツが横河武蔵野アトラスターズとホームグラウンド(埼玉・狭山市)で対戦し(トップイーストリーグAグループ)、4トライのうち3トライをラインアウトモールで獲得し、FW戦を制した。ファイナルスコアは32−22。
試合後、SH髙島理久也キャプテンは、「正直なところ、スクラムはもう少し押せると思っていたんですが、横河さんも対策してきて、HOの選手も変わっていて、ペナルティーも取られたし…モールではしっかり強みが出せていたので、そこに拘ってしてきたことが勝ちにつながったかなと思います」と打ち明けた。
セコムのモールが安定していたのは、ラインアウトを練習通りにできたから。突き詰めれば、スローワーを務めたHO新井幸輝が弛まぬ努力を重ねたからこそ生まれた成果だ。
新井は入部9年目のチーム最年長選手。夜勤の日もあるけれど、この日のマン・オブ・ザ・マッチに輝いた。
試合は前半1分、相手オフサイドから得たフリーキックを蹴り出し、ラインアウトからモールで押し込みHO新井が先制のトライを挙げた。SO石澤周のゴールも決まり、7−0とした。
9分、相手ボールラインアウトから首尾よくつながれ、HO崩光瑠にインゴールを割られ7−5と迫られる。PGで加点し、10−5と離すも、23分、スクラムから左右へ球を散らされた。最後はWTB廣渡将が右中間に飛び込み同点トライ。SO村上晴太のゴールも成功して10−12に逆転された。
27分、ラインアウトからモールで押し込み追加点を獲得し、HO新井が2度目のファイブポインターとなり、ゴールも決めて17−12とした。
すると31分、ラインアウトからモールを押し込まれ、FL金澤省太郎に17−19の逆転トライを許してしまう。
34分、リスタートのキックを蹴り返されたところをWTB池松佑眞がチャージし、よくサポートに回ったFL中村亮介が好反応を見せた。インゴールに転がるボールを押さえ、22−19に逆転した。
その後、両者がPGで加点し、25−22で迎えた後半40分、我慢比べに決着をつけたのはセコムだった。
相手陣内22メートルライン付近でのラインアウトから、再びモールにこだわった。HO廣瀬直幸がボールを置いて、ゴールも決めて勝ち切った。
マン・オブ・ザ・マッチに輝いたHO新井は、「なんで僕なのかなと思いました」と言って破顔した。
「9年目になるのですが、ずっと公式戦で(横河武蔵野に)勝てなかったんです。今年の春も、ラストワンプレーで逆転されて2点差で負けました。(開幕節は)東京ガスさんに後半に逆転されて7点差で敗れてしまって、(第2節の)ヤクルトさんにはロスタイムのラストワンプレーで逆転されて負けました」
「それがトラウマにもなりましたが、最後の最後で我慢できなかったことが、今日はしっかり我慢できて、久し振りに観客も入ってくれたのもあって気持ちが切れずに80分間続けて粘ってできて、それが凄く良かったなあと思います」
最後は、「嬉しいです。今日は何よりも嬉しいです」と晴れやかに締めくくった。
SH髙島理久也キャプテンは、獲っては獲られ、獲られては獲り返す試合展開について、こう話した。
「獲られたあとは、しっかり円陣を組んでもう一回ゲームプランを確認しました。自分たちがやることをもう一度統一してからリスタートすることを意識していました」
「最後の20分はディフェンスが苦しくて、苦しくて。一人一人声を掛けて、試合に出てないメンバーも声を掛けてくれて、最後は気持ちで勝てたのかなと思います」と喜びをかみしめた。
リーグ前半戦の4試合を終え、セコムラガッツの成績は2勝2敗。勝ち点11とし、優勝の可能性を残した。次節は11月6日、敵地で東京ガスと再戦する。
※試合の模様は、セコムラガッツの公式YouTubeチャンネルでご確認ください。