強いぞ近大!天理に続き、同志社も激戦の末、24-10で破る。
9月に番狂わせを起こした近大が、その実力が本物であることを証明した。
昨季日本一の天理大を破ってから3週間後の10月9日。布引グリーンスタジアムで昨季関西リーグ2位の同志社大と対戦し、24-10で接戦を制した。
打倒天理を掲げ、関西リーグ初戦でその目標が達成されてもなお、気持ちの緩みを一切見せなかった。
福山竜斗主将は戦前のチームをこう振り返る。
「天理大に勝った次の試合で、自分たちの本当の実力が試される。この3週間は天理大に勝ったことに満足せず、次に向かう姿勢が選手全員にありました」
天理大戦同様、同志社大戦でも集中力の高さが光った。中島茂総監督は「後半20分過ぎの勝負どころで思考力が低下しなかった。(取り組んでいる)フィジカルとフィットネスの効果が出ている」と語る。
決勝トライは後半33分だった。
キックが持ち味のSO半田裕己が敵陣22㍍内に向けてハイパント。ルーキーのWTB植田和磨がうまく反応してキャッチ、インゴールを割った。
プレイヤー・オブ・ザ・マッチにも選ばれた植田は「ドンピシャでジャンプできて、気づいたら自分がキャッチしていました。良いところでのパスやキックを上げてくれる先輩たちに感謝です」と喜んだ。
ブレイクダウンやディフェンスをお互いに強みとしてきた両チームの戦いは、前評判通り、ロースコアでの戦いとなった。
「近大は天理大を倒していて、強いというのは分かっていた。タイトなゲームになると覚悟していました」と同志社大のLO南光希共同主将。
前半は同志社大10-7近大の僅差も、その時点では同志社大優位に映った。近大が天理大戦での勝因となったスクラムで、何度もコラプシングの判定を下され、劣勢に立たされていたからだ。近大のPR紙森陽太も「今日はBKに助けられるシーンが多かったので、BKに感謝したい」と振り返る。
だが中島総監督が勝因を「勝利への執着心に尽きる」と語るように、自陣ゴール前での粘り強いディフェンスで、失トライをわずか1に抑えた。
後半13分には、同志社大が自陣ゴール前からFB山口楓斗、NO8木原音弥、WTB和田悠一郎とつないで、一気に敵陣ゴール前まで迫る。近大はそれから15分近く、自陣22㍍ライン内でのディフェンスを強いられたが、ゴールラインを割らせなかった。それが冒頭の決勝トライにつながった。
敗れた同志社大の伊藤紀晶監督は「ボールを動かして走って、ブレイクダウンでプレッシャーをかける、ということをやるべきでしたが、FW周辺のプレーが多くなり、あまりボールの動かない相手ペースのゲームになってしまった」と肩を落とした。
スクラムで優位に立った分、チャンスは何度もあったが、小さなミスも重なった。「セットプレーでうまくボールが出てもなかなかつながらず、完全に自分たちのペースになりきれなかった。ずっと同じ流れ、近大さんの流れにしてしまった」(南共同主将)
近大にとって、対同志社大は2015年に勝利を挙げて以来、3度目の白星となった(初勝利は2012年)。1971年から同チームを指揮する中島総監督は「関西ラグビーは歴史、実績ともに同志社が牽引してきた。われわれは過去2回しか勝利していなかった」と感慨深げに話し、「天理大戦に勝って学生たちは随分自信になったみたい」とチームの成長を語っていた。
近大は17日に今度は昨季関西リーグ3位の京産大と対戦予定。開幕3連勝となれば一気に初の関西制覇へとつながる。