国内 2021.09.17
FB中洲晴陽[近大]は「絶対にやれる」。初の天理撃破へ、最後の挑戦。

FB中洲晴陽[近大]は「絶対にやれる」。初の天理撃破へ、最後の挑戦。

[ 明石尚之 ]

 ラグビー一家に生まれた。玄海ジュニアラグビークラブに入ったのは、まだ2歳10か月のとき。ラグビーをしていた父の影響で、「気づいたら」楕円球に触れていた。一歳上の兄、6人の従兄弟とみんなでグラウンドに通うのが日課だった。

 高校は兄を追うような形で筑紫に入学。1年時は福岡県の枠が増えた95回目の全国高校大会に出場する。早くも花園の芝に足を踏み入れた。
 1回戦で東京朝高を26-19で破り、2回戦でシード校の大阪桐蔭に10-31で敗れる。中洲は正SOとしてグラウンドに立ち続けたが、「ビビッて思い切ったことはできなかった」。

 翌年の春も選抜大会に出て、2度目の全国を経験する。ここでは予選リーグで全敗に終わった。
 全国大会にあまりいい思い出はない。

「高校時代は自分が通用している実感がなくて、自信がなくて。ビビりだったんです」

 大学入学後もそうだった。

 1年時から15番に定着した。関西大学リーグの初戦はメンバー外も、けが人の影響で2戦目からリザーブ入り。3戦目で先発の座を勝ち取った。でも自信はなかった。
「ボールキャリーが強みなのに、カウンターにいけなくて、パスとかキックに変えていました」

 初先発は冒頭の天理大戦だった。0-50の完敗。
「何もできませんでした。それが悔しくて」

 福山主将が天理を本気で倒そうと言った時、自分も同じ気持ちだった。それが中洲の分岐点になった。

 このままではダメだと努力し続けたら、いつしか弱気な自分は消えていた。
「試合を重ねていく中で、1年生の終わりあたりからボールキャリーが通用していると感じるようになりました。意外といける、そんなにビビらなくていいんだと。自信持っていけるようになりました」

 最上級生となった今季はBKリーダーとしてチームをまとめる。福山主将は先頭で引っ張ってくれるから、自分は一歩引いて落ち着いて指示を出す。
「FBは1番後ろなのでみんなのことが見える。チームは結構、感情的になってしまうところがあるので、落ち着かせるような言葉を言ったり、みんなの顔色を見ながら声をかけたい」

 中洲にとって、関西リーグで天理大を倒すラストチャンスは、9月19日14時、キックオフ。
「始めは天理に勝ちたいな、だった。でも今は絶対勝つ、という強い思いに変わってる。絶対にやれると思います」

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