【ラグリパWest】連覇ではない、狙うは日本一。天理大学
小松節夫に連覇への意気込みを聞いた。
「それはおこがましい。ウチは常やね」
つね、とは?
「日本一ということ」
シーズンを目前に控え、天理監督の心は、「また一から」。昨年度、早明などを破っての大学選手権初優勝はひとまず脇に置く。
勇ましい言葉を使わない。そこにはチーム事情も絡む。
優勝チームから9人が卒業で抜けた。学生の常である。CTBシオサイア・フィフィタは近鉄、HB団を形成したSH藤原忍はクボタ、SO松永拓朗は東芝にそれぞれ進んだ。
「いる時は、大きいな、なんて思わへんかったけど、おらへんようになったら、大きいな、って思うなあ」
小松は正直である。
9人の穴以外にもケガ人の多さがある。
「ベストメンバーで組めてないよね」
NO8のアシペリ・モアラはヒザのじん帯損傷や肩の筋肉の肉離れに見舞われる。20歳以下日本代表の肩書を持つパワープレーの軸は、春から満足に練習ができていない。
7月4日、関西のチームに対する大会連勝記録を43で止められる。6回目の春季トーナメントの決勝は同志社に19−35。最後の黒星は6年前だった。同じ同志社に関西リーグ最終戦で10−13。2015年12月5日だった。
この43連勝の間、天理は2回引き分けている。1、2回目の春季トーナメント。京産大に19−19と近大に35−35。ただ、この大会に一軍を出し、真剣に勝敗を競い始めたのは4回目から。それまではチームによっては定期戦などの日程の重なりなどもあった。引き分けにはそういった背景もある。
この同志社戦が天理の春の最終試合になる。夏合宿は2年ぶりにできた。8月17日から11日間を長野・菅平で過ごす。
昨年はラグビー部寮でコロナのクラスターが発生。最終的に陽性者は62人にのぼり、夏合宿は中止された。今年は8月上旬、部でワクチン接種を終えて、菅平に登った。
現地では3試合をして1勝2敗。流経大に50−0、明治に10−28、帝京に14−40。明治には連敗となる。6月20日、長野での招待試合は21−26だった。
「明治と帝京にはスクラムを押された。あんんなに押されたのは久しぶりやったね」
小松はスクラムとブレイクダウンを勝利の両輪に挙げている。そのひとつが崩れる。組み合いで圧力を受ければ、その後のボールの争奪現場への到達も遅れる。
スクラムを支えた左右のPR、谷口祐一郎と小鍛治悠太も卒業した。谷口はリコーへ小鍛治は松永と同じ東芝に行く。フロントローの経験不足は否めない。