国内 2021.09.01

NO8でナンバーワンになってからHOへ。早大1年、佐藤健次の描く未来図

[ 編集部 ]
NO8でナンバーワンになってからHOへ。早大1年、佐藤健次の描く未来図
パワフルかつボディーバランスのいいNO8。(撮影/松本かおり)



 スーパールーキーは着実に前進している。
 早稲田大学ラグビー部の1年生、佐藤健次は8月28日に菅平でおこなわれた明治大学戦にNO8で先発し、チームの勝利に貢献した。

 高校時代は桐蔭学園で主将を務め、仲間とともに日本一となった。大学でも、同じように頂点に立ちたい。
 38-34と競り勝った夏の早明戦を終え、177センチ、98キロのフレッシュマンは自身のパフォーマンスを「ゲインするところでゲインできたし、甘いところはあったが、ラインアウトからのディフェンスなど、レベルアップできたところもあった」と話した。

 反省も忘れない。
「チームとしても個人としても、取り切れるところで取り切れないことがあった。前半最後、宮尾(昌典/SH・1年/京都成章)とのコミュニケーションミスでキックオフボールをロストしたシーンもありました。まだツメが甘い」
 関東大学対抗戦開幕へ向け、さらにレベルアップしたいと意欲を見せた。

 春から夏、着実に階段を昇った感覚がある。
「春は自分のやりたいことを何もできず、試合に出させてもらっている感じでした。でも夏合宿での3試合で自分の通用するところ、通用しないところが明確になってきた。戦えるところは、いいレベルで戦えているのでそこは伸ばし、修正すべきところは直していく」と話す。

「スペースがあるところでのアタックは得意です。ゲイン(ライン)を切れている。ディフェンスも、自分が前に上がれている時は、いいレベルでやれていると思います。ただ、しんどくなったとき(の防御)は、もっと高めないと。いいタックルでも、取り切れるのは少ない。ターンオーバーにつながるものをもっと増やしたい」と上を見る。

 高校レベルで群を抜いていた攻撃力は、チームが自分やLO青木恵斗(帝京大1年)などパワフルな選手を自由に動かせてくれた背景があると自覚している。
「高校時代はディフェンスラインにあまり入らずうしろにいたり、アタックでも、自分や青木は、外や、入りたいところに入ってよかった。大学ではチームの方針もあり、制限もありますが、強みを生かせるポジショニングにしてもらっています」
 自身が置かれた環境を「恵まれている」と感謝する。

 大学入学後は将来を考え、HOに転向する希望を口にしていた。
 その考えはいまもある。しかし、大田尾竜彦監督のアドバイスもあり、まずは背番号8で勝負する。

「(将来へ向け)スローイングの練習もしていて、自分の中でもHOでいけたら、と考えています。ただ、監督のアドバイスもあり、バックローでいちばんになってからHOへ、と。通用しないからHOに逃げるのではなく、(NO8で)いちばんいい選手になってから(転向する)。そっちの方がかっこいいと、自分も思います」

 慣れ親しんだポジションでのプレーを追求しつつ、スローイングやフロントロー仕様の体作りも並行しておこなっていく。

 大学生活の4年間ライバルであり続ける明大と対戦し、相手の能力の高さをあらためて体感した。
「シンプルなコリジョンが強い印象は(もともと)ありました。(実際に戦って感じたのは)真っ直ぐだけでなく、展開したり、FWがステップを踏んだり、ワンパスもする。そういうプレーへの対応がおくれたときにトライを取られた。強い、早いだけでなく、全員が考えてラグビーをやっているから(明治は)強い」

 秋シーズンは9月12日の立教大学戦で開幕予定。青木のいる帝京大との対戦は11月3日、明大とは12月5日に戦う。
 厳しい試合を経験すればするほど成長する年頃。春から夏に進化した以上のスピードで、秋、冬とスケールアップする。

PICK UP