鉄人、カリスマ、仕事人・・・。 ザ・ラグビーチャンピオンシップを彩る主将たち
南半球のラグビー大国が激突する4カ国対抗戦「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」が開幕している。世界最高峰の“四つ巴”を繰り広げるニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンにおいて、各主将はユニークかつ魅力的だ。キャプテンはチームの鑑。窮地で、ハイライトで、見せる輝きはチームとシンクロしている。彼らを知れば今大会をより楽しめるはずだ。
◎ニュージーランド代表キャプテン
LO サム・ホワイトロック 202cm 117kg/32歳
本来のキャプテンは世界的FLのサム・ケインだが、3月に右大胸筋の腱を断裂。大会出場が不透明のため、今大会は122キャップを誇るホワイトロックが代役を担う。
2010年の黒衣デビューから約10年にわたり主力LOとして君臨し、2018年にオールブラックス史上最年少で100キャップに到達。ワールドカップ連覇(2011、2015)にも貢献した鉄人だ。
202センチの巨体をフル活用し、ラインアウト、スクラム、モールの核として粉骨砕身する。リーダーシップにも優れ、2019年ワールドカップのナミビア戦など過去6試合でゲーム主将を経験している。
トップリーグ2020はパナソニックでプレーしており、日本のファンにもお馴染みだ。朴訥な印象のホワイトロックが先頭に立つであろう試合前の「ハカ」も要注目だ。
◎オーストラリア代表キャプテン
FL マイケル・フーパー 182cm 97kg/29歳
驚異的な運動量、敢闘精神でヒーロー的な活躍をするオーストラリア代表“ワラビーズ”の至宝。低く鋭いジャッカルも一級品だが、抜群のスピードを持ちアタックの切り札にもなれる。
身長182センチは国際レベルでは小柄だが、同代表史上2番目に若い22歳223日でキャプテンに就き、代表キャップ数は29歳にして105キャップを数える。
上背はなくとも世界屈指のFLになれることを証明する存在であり、2020年度のトヨタ自動車でチームメイトになった日本代表No.8姫野和樹など、フーパーに憧れる日本人バックローは少なくない。
2019年ワールドカップ後にマイケル・チェイカから代表指揮官を引き継いだデイヴ・レニーは、フーパーのキャプテン続投について「簡単に決まった」と語った。まさに唯一無二のリーダーだ。
◎南アフリカ代表キャプテン
FL シヤ・コリシ 188cm 105kg/30歳
実力と品位を備えたカリスマだ。2019年ワールドカップ日本大会で優勝杯を掲げ、母国に3大会ぶり3度目の栄冠をもたらした。強烈なディフェンダーだが、スピード感溢れるアタックは大迫力。スピードに乗った時のコリシは脅威のひと言だ。
幼少期は貧困にあえいだ。ポートエリザベス近郊のタウンシップ(アパルトヘイト時代に指定された黒人居住区)に育ち、小学校の50ランド(約350円)の年間授業料が払えなかったという。しかし8歳で始めたラグビーで才能を見出され、ついには南アフリカ代表史上初の黒人キャプテンに上り詰めた。
地位と名誉を手にしたが、人格者のコリシに慢心はない。2019年ワールドカップ後には財団を設立して貧困層の支援も行っている。コリシの一挙手一投足が、南アフリカの人びとにとっての希望の光だ。
◎アルゼンチン代表キャプテン
HO フリアン・モントーヤ 183cm 113kg/27歳
愚直な仕事人に大役が回ってきた。5月に公表されたアルゼンチン代表のキャプテンは闘将FLパブロ・マテーラではなかった。どちらかといえば地味な、しかしタフで頼りがいのある27歳だった。
モントーヤの道のりを物語る数字は「50」だ。実に代表63試合中50試合がリザーブ出場。先発には長らく絶対的キャプテンだったHOアグスティン・クレービーがおり、19歳で代表デビューした2014年から5年間は「クレービーに次ぐ2番手HO」だった。
しかし安定感抜群のセットピース、堅実なフィールドプレーで信頼を積み重ね、今回ついに栄誉ある“ロス・プーマス”のスキッパーを託された。地道に献身してきた仕事人は、ザ・ラグビーチャンピオンシップという檜舞台でどんなリーダーシップを見せてくれるのだろうか。
『南半球4カ国対抗戦 ザ・ラグビーチャンピオンシップ』
WOWOWにて放送&配信!
【第2節】
「アルゼンチン vs 南アフリカ」
8/21(土)夜11:50〜[WOWOWオンデマンド]※生中継
※8/21(土)深夜3:30〜[WOWOWライブ]にて放送
【ブレディスローカップ 第3戦】
「オーストラリア vs ニュージーランド」
8/28(土)夜6:45〜[WOWOWオンデマンド]※生中継
※8/28(土)夜11:15〜[WOWOWライブ]にて放送
・ゲスト:田中史朗
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