筑波大65-14関東学大。筑波の走りがKGUを凌駕。松永貫汰主将は「勝負できる選手」を目指す。
筑波大の11、14、15番が光った。それぞれ1トライずつ挙げたうえ、スピードやフットワークを生かしたチャンスメイク、キックチャージ、さらには蹴り込んだボールを追いかけながらのタックルやジャッカルでも存在感を発揮した。
8月17日、合宿先の長野はサニアパーク菅平。関東学大を65-14で一蹴した。
筑波大は前年度の関東大学対抗戦Aで8チーム中5位。関東学大は同リーグ戦で8チーム中7位だった。近年の全国大学選手権への出場歴で一日の長がある筑波大は、この日もその構図を維持した。特に際立ったのが、11、14、15番をつける先発バックスリーだった。
まずは15番。4年生FBで主将の松永貫汰は、前半31分にチーム3本目となるトライを決め、直後のゴール成功で21-7と勢いを加速させた。それと前後し、防御網へ直線的に仕掛けながら細かいステップで前進する。
大阪の大産大附出身なのは、兄で東芝の拓朗と同じ。拓朗は天理大の司令塔として、前年度の大学選手権で日本一となっている。弟は「そのことは意識しませんが、日本一になりたい」。目指す選手像はこうだ。
「勝負できる選手になりたい」
次は11番。続くハーフタイム直前には、WTBの大畑亮太がフィニッシュ。敵陣深い位置の接点からSHの鈴村淳史がキックを放つと、東海大仰星高卒ルーキーの大畑がインゴールまで弾道を追った。グラウンディング。26-7。
「ミーティングでも(WTBの立つ)外をうまく使おうと話していて。自分が(相手を)抜けない時でも次のプレーで誰かが抜けるように考えて動きたい」
後半開始早々には、敵陣中盤左のラインアウトからの攻めで松永が右から左へ回り込んで切れのある走りを披露。すると右大外のスペースで、14番が際立つ。
大畑と逆側のWTBに入った3年の植村陽彦は、パスをもらうや右から左へのカットインで目の前のタックラーを振り切る。直後のゴール成功でスコアを33―7とする。
実は植村はこの日のゴールキッカーも担当。2本のペナルティーゴールを含む9本のゴールを決める。守っては堅陣を張る味方FWと連係し、要所でジャッカルを決めた。
雨天のグラウンドでも、概ね望むプレーができた。
「芝が深く、ステップを切ることが難しそうだったのですが、パフォーマンス自体は悪くなかった」
初の日本一を目指す筑波大にあって、リーダーの松永は今夏のテーマに「自分たちで防げる反則をなくすこと」を掲げる。1勝2敗で終わった関東大学春季大会などのゲームで、ペナルティが多かったと反省するからだ。かねてからある「20失点以内」というミッションをクリアするためにも、相手に余計な攻撃権を与えたくないとも考えている。
今度の一戦を受け、松永主将は「今日も何個か(反則は)あった。そういったところも反省して次につなげたい」。自慢の走りを披露する以前の領域にも、鋭い視線を送る。