国内 2021.06.05

流経大柏が36-20で桐蔭学園を下し、大きな一勝を掴む。桐蔭の連覇は7でストップ

-関東高校大会-

[ 編集部 ]
流経大柏が36-20で桐蔭学園を下し、大きな一勝を掴む。桐蔭の連覇は7でストップ
流経大柏が桐蔭学園に勝利。6日は2010年以来の優勝をかけて國學院栃木と争う(撮影:福島宏治)
桐蔭学園のゲームキャプテンを務めたCTB今野椋平(撮影:福島宏治)

 36対20。ノーサイド。

 赤金のジャージーが喜びを爆発させた。

 関東1都7県の上位校が集い7ブロックに分かれて戦う、関東高校大会の1回戦が6月5日に成田市中台運動公園で行われた(25分ハーフ、6日に決勝と3決)。

 最上位のAブロックでは、1回戦で流経大柏(千葉1位)と桐蔭学園(神奈川1位)が対戦。流経大柏が7連覇中だった王者・桐蔭を接点で圧倒し、36-20で勝った。

 流経大柏・相亮太監督の第一声。
「桐蔭さんにずっと鍛えてもらっていたので、ようやく恩返しができたという感じです」

 4月の全国選抜大会では、流経大柏は2回戦で天理に敗れた。その天理を桐蔭は、京都成章と戦ったあとの準々決勝で倒す。県や関東の新人大会が中止となり、選抜が新チーム初の試合という同じ条件だったのにだ。
 選抜の直前には合同練習も一緒にしていたから、そのときの感触とは異なり、決勝まで勝ち上がった桐蔭の強さに、相監督は脱帽していた。

 だが、それから2か月。その壁を見事に越えた。勝因となったのはブレイクダウンでの強さ。流経本来の持ち味である、フィジカルにもう一度焦点を当てていた。

「部活動の練習制限は少し緩和されましたが、元通りにはなっていません。あれもこれもと手を付けられないので、捨てる勇気も大事かなと。原点に戻って、流経の強みを前面に出せるようなゲームをしようと」

 序盤からそのプラン通りに試合は動いた。
 共同主将のSO蓬田雄③が巧みなキックでエリアを取りながら、接点でプレッシャーをかけて、桐蔭を自陣にとどまらせた。
 9分にPGで先制。最初のトライも流経が奪った。ブレイクダウンでターンオーバーを決めること3度。20分、ついにNO8小澤天②が抜け出して、SH藤田偉央③にラストパス、インゴールに飛び込んだ。
 25分にはピック&ゴーで追加トライ。前半を17-3で折り返した。

 後半に入っても流経の勢いは衰えなかった。3分、SH藤田がラックサイドを鋭いステップで抜け出して、WTB小野塚勇太②のトライを演出。この日最大の21点差をつけた。

 ここから桐蔭も意地を見せる。6分、9分とエースFB矢崎由高のランと自陣からでもつながる展開力で、一気に連続トライ。点差を縮めたが、流経はこの間にも1本ターンオーバーを決めていた。

 流経は9点差とされた追い上げムードのなか、一度やられたアタックを2度はさせなかった。「冷静でしたね」と相監督。ワイドに攻める桐蔭に対し、タッチラインで仕留める好守備を何度も披露。
 15分にLO中川功己②が縦を突いて再びリードを広げ、勝利を手繰り寄せた。

 それから1トライずつ分け合い、ノーサイド。

 桐蔭学園・藤原秀之監督は「完敗です。ラグビーの根本のところ、接点で1対1で負けていた」と話す。選抜に続きFL中島潤一郎主将は欠場。さらに選抜ではゲームキャプテンを務めたLO小椋健介をはじめ、部員のケガが相次ぎ、バックファイブの顔触れは大きく変わっていた。それでも藤原監督は「それも実力です」と完敗を認める。

 一方、最後まで集中力を切らさなかった流経は、「今日の試合でチームはガラッと変わりました。不確かなものが確信に変わったような感じです」と相監督。

 大きな手ごたえを得た流経大柏が、新たな扉を開いた。

飯岡建人②(写真)と細川塁③の両CTBは好ランが目立った(撮影:福島宏治)

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