海外 2021.05.21
欧州最強クラブはトゥールーズかラ・ロシェルか? 今週末、トゥイッケナムで決勝

欧州最強クラブはトゥールーズかラ・ロシェルか? 今週末、トゥイッケナムで決勝

[ 福本美由紀 ]
ラ・ロシェルの決勝進出に大きく貢献してきたスケルトン(左)とアルドリット(Photo: Getty Images)

 チームづくりも、トゥールーズ同様、若手の育成に力を入れ、プロの練習にエスポワールの選手を参加させ、より早くプロのレベルにフィットできる環境を作っている。その成功例が現在フランス代表で活躍しているNO8グレゴリー・アルドリットや、HOピエール・ブルガリットだ。
 また、派手ではないが的確なリクルートも功を奏している。2016年に元ニュージーランド代表FL/NO8ヴィクター・ヴィトが入団。経験や技術だけではなく、常に誰よりもハードワークする姿勢が、チームメイトの意識を引き上げた。
 タウェラ・カーバーローとイハイア・ウェストのマオリHBコンビもチームをテンポよくリードする。特にウェストの評価が急上昇、1月の時点では、今季で契約終了と報道されていたが、5月初めに1年延長されることが発表された。ロナン・オガーラHC(ヘッドコーチ)が「どんなに調子が悪い日でも10点満点で7点のパフォーマンスができるSOが2人ほしい」と言っていたが、その要求に応えられたのだろう。
 オガーラHCは「試合でポテンシャルの80%を出せる選手が15人中13人必要だ。10/10はあり得ない。9.9/10を出せるのはアルドリット、(ウィル)スケルトン、そしてトゥールーズの(アントワーヌ)デュポンだ」と言っている。

 元オーストラリア代表のLOスケルトンの存在も躍進に必要不可欠だった。今季サラセンズ(イングランド)からレンタルで移籍。ワラターズ(オーストラリア)でスーパーラグビー優勝、オーストラリア代表でザ・ラグビーチャンピオンシップ制覇、サラセンズではプレミアシップの栄冠に2度輝き、チャンピオンズカップでも1度優勝しており、パワーだけでなく、「勝つカルチャー」をチームに吹き込んだ。

 ほかには、FLウィアン・リーベンバーグ、WTBディリン・レイズ、WTBレイモンド・ルールがU20南アフリカ代表だった2012年にジュニア・ワールドチャンピオンシップで優勝している。レイズはトゥールーズのWTBチェズリン・コルビとストーマーズ(南アフリカ)でチームメイト。こちらのスプリングボックス対決も楽しみだ。

 フィジー代表でもあるCTBレヴァニ・ボティアはレンスター戦で足首を痛めて出場が危ぶまれているが、ブルドーザー並みの破壊力は何度も敵のディフェンスをこじ開けてきた。

 ラ・ロシェルのリクルートは外国人だけではない。今季、3年ぶりにフランス代表復帰を果たしたFBブリス・デュランは、移籍組のひとりだ。彼に声をかけたのが、以前ラシン92でコーチをしていたオガーラHCだった。
「ロナン(オガーラ)は、なんでもはっきり言ってくれるし、僕のどこをつつけば効果があるのかよくわかっている。しかもラ・ロシェルはどんどん強くなってきていて、ここで何か素晴らしいことができると思ったんだ」

 FLケヴィン・グルドンが以前のような勢いのあるパフォーマンスを見せるようになったのも今季のラ・ロシェルの強さだ。2016年にフランス代表デビュー、将来を期待されていたがいつしか選考外に。「バーンアウト」だったと本人は言う。昨年のロックダウンでラグビーができなくなったことで、再びスイッチが入った。「ケヴィンは数年前のシックスネーションズでベストプレーヤーだった。でも努力をしてこなかった。今、彼に残された3年(契約期間)で何かを成し遂げたいと思っている。そのためのプランを立てて、ようやくフィットしてきた」とオガーラHCは話している。

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