ジャッカルで5連勝のサントリー・小澤直輝、クボタとの全勝対決でも「役割」果たす。
首尾よくジャッカルを決めて相手の反則を誘えれば、自軍のSOでニュージーランド代表のボーデン・バレットがペナルティゴールを決めてくれる――。
「取り返せば、ショットがある」
迫力満点のジャッカルは、繊細なプレーでもある。その時々の接点での状況によっては、試みた側が反則を取られる。
ただし小澤は、ジャッカルを繰り出す際の一定の判断基準を設けていた。レフリーのコールに耳を傾け、絡めば笛が吹かれそうだと見ればこらえる。手を出すのは、ペナライズされずにボールを奪えそうだと感じた瞬間のみに限る。
トヨタ自動車戦の試合終了のホーンが鳴る直前が、まさにその時だった。
緑の群れへ黄色の20番が飛び込み、白い球に絡む。膝は地面につけておらず、立った状態でプレーすべきという競技の理念を貫いていた。
「自信を持って、(ボールを)獲りに行きました」
サントリーはペナルティキックを獲得し、バレットの決勝ペナルティゴールで39-36と全勝対決を制した。小澤はここでも、「役割」を強調したのだった。
「今回の試合に限れば(サントリーのバックローでは他に)テビタ・タタフ、ショーン・マクマーン、ツイ ヘンドリックがいて、皆、ボールキャリーが強い。彼らが彼らの役割をやってくれる。逆に僕は、相手にもいいボールハンターがいることもあってブレイクダウンに集中していました」
昨季は5月までのリーグが3月に不成立となった。「ラグビーをしていないと体重が落ちてしまう」という小澤は、長い自粛生活で6キロ減。ただし今季の開幕に向け、段階的に復調できた。できることは限られたかもしれないが、そのできることはやり切った。
2017年に初選出された日本代表への復帰には「そこまで深くは考えていないです。結局、チームでいいパフォーマンスをすることがそういうもの(選考)にはつながる」と達観した様子。明大前主将の箸本龍雅ら、今年4月から出られる新人との競争へはこう構える。
「自分のチームメイトとも、世界的に有名な対戦相手のバックローとも、一緒にプレーできるのが楽しみ。その気持ちが最近、強くて。だって、社会人だけじゃないですか。世代の離れた選手と一緒にプレーすることって。若く素晴らしい選手と一緒にラグビーができることは、僕のモチベーションになります。試合に出る、出ないは結果。そこまでの過程では、彼らの僕に持っていないものを見て成長できる」
4月3日の東京・秩父宮ラグビー場での第6節は、2試合連続での全勝対決となる。対するクボタは身長205センチのルアン・ボタら、大型FWを誇る。
サントリーの7番で先発の小澤は、メンバー発表前にあった今度の取材時に意気込む。
「相手のFWは非常に大きくてパワフル。そこの勝負になると思っています。うちのアタックのベースとなる、精度の高いブレイクダウンを作る。(相手防御は)前に出てくると思うので、そこから逃げずにアタックする。ディフェンスでは、勢いに乗ったら強い相手をどれだけ身体を張って止められるか(が鍵)」
大きさでは測れぬ強さで、ゲインラインの取り合いを制したい。「では、行ってきます」とエンジンをかけた。
▼「トップリーグ2021」特設ページはコチラ
https://rugby-rp.com/topleague