NTTコムの逆境救う? 韓国発のフィニッシャー張容興は「試合でいいパフォーマンスを」
NTTコムが苦しんでいる。
今年度の国内ラグビートップリーグでは4試合を終えて1勝2敗1分。過去最高が2018年度の5位と上昇気流に乗っていたものの、昨今は主力候補の離脱や移籍報道が相次ぐ。
3月26日、東京は秩父宮ラグビー場で東芝との第5節に臨む。求められるのは、逆境で力を発揮する走者の活躍だ。
「頑張って準備してきたのに負けたのは残念ですが、もっといい準備をしてこれから勝っていきたいです。試合の時、選手たちのコンディションパフォーマンスがよくなくて負けたと思います。なので、今週も頑張って準備する。そして、試合でいいパフォーマンスが出せたらいいです」
このほど5戦連続で先発予定の張容興(チャン・ヨンフン)が語ったのは、3月6日のクボタ戦を24-34で落とした数日後。「試合でいいパフォーマンス」を披露。それを有言実行できる。
来日2季目。置かれた状況を前向きに捉えられる。
「ここでラグビーをすることが楽しいです。ファンもたくさんいるし、チーム、ラグビーのシステムもいい」
故郷の韓国は競技が盛んではない一方、日本は大企業の傘下にあるクラブが世界の一流選手を招聘。国内リーグの質を高めている。NTTコムも元スコットランド代表主将のグレイグ・レイドローら、国際的プレーヤーを擁する。張は言う。
「昔からYouTubeで海外の試合をよく観ました。そこに映った選手と練習できるのはすごく嬉しい。想像できなかったことでした。(レイドローらは)試合中のハドル(円陣)で、お互いを盛り上げられるようにしてくれる。スキルは当たり前にうまいですが、お互いがお互いを支えられるようにする点がより上手で、それを学んでいます」
釜山体育高、名門の延世大を経て来日した。母国では7人制、15人制の韓国代表に名を連ねており、今夏開催予定の東京オリンピックへも男子7人制韓国代表の一員として出場したいという。
身長175センチ、体重80キロと決して大柄ではないが、防御の死角へ駆け込み鋭いランで突破する。今季は第4節までに3トライを挙げる。
「前を見て、空いているスペースを見つけて、中に(ボールをもらえるよう)コールします」
トヨタ自動車との第2節では、インターセプトから約90メートルの距離を走り切ってフィニッシュ。ピンチの場面でも、平時につかんだ感覚を活かせる。
「トヨタ自動車戦前の準備の時、インターセプト(をすること)が多かったです。タイミングが少しだけ、わかっていました」
日本初挑戦となった昨季は、途中でリーグ不成立を受け入れた。帰国後は約半年、クロスフィットトレーニングを重ねて身体のキレを保った。
「去年よりトレーニングができて、身体はいいです。とりあえず(残りの)全試合に出て活躍をいっぱいしたいです」
ちなみに取材時は、OBで韓国人スタッフの諸葛彬が通訳として同席。ただし、ほとんど本人が日本語で話した。
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