セブンズ 2021.01.25

女子7人制日本代表のマキリ新HC、「選手の熱意感じた」。五輪へ向け最強の守備力目指す

[ 編集部 ]
女子7人制日本代表のマキリ新HC、「選手の熱意感じた」。五輪へ向け最強の守備力目指す
熊谷合宿で指導するマキリ新ヘッドコーチ(写真提供:日本ラグビーフットボール協会)


 東京オリンピックまであと半年。新型コロナウイルスの感染拡大が収まらないなか、アスリートたちは開催を信じて努力を続けており、7人制ラグビー(セブンズ)の女子日本代表候補は今年に入って2回目の強化合宿を埼玉県熊谷市でおこなっている。

「彼女たちがハードワークするというのは前々からわかっていたが、どれだけハードワークしているのか、自分はそこまでちゃんと知らなかった。実際に合宿で見て、本当にすごいハードワークを彼女たちがしているのを目の当たりにした。毎日毎日、彼女たちは私が思っていた何倍も頑張っているので、指導はとてもやりやすい。彼女たちは本当に成長したい、強くなりたいと思っている。強い意志を持ってみんなが集まると、すごい力を生むことがある。グラウンドの上で練習を見ていると、ちょっと軽い交通事故くらい激しい当たりをしていて、こっちがびっくりすることもあるが、彼女たちの熱意の表れだと思う」

 そう語るのは、1か月前にヘッドコーチ就任が発表されたハレ・マキリ氏だ。パフォーマンスマネージャーに配置転換となった稲田仁 前ヘッドコーチからバトンを受け、1月8日から指揮を執っている。15人制の日本代表として26キャップを持ち、ワールドカップにも出場したことがあるニュージーランド出身のマキリ氏は、選手としても在籍したサニックスや男子セブンズ日本代表でも指導経験がある。
 熊谷合宿期間中の1月25日、オンラインでの合同取材に応じた。

 オリンピックまで半年となり、「時間という観点では、かなり大きな挑戦になると認識している」というマキリ新ヘッドコーチ。限られた時間で何をするかを考え、変えられるものは何かというところに視点を持った。
「変えるべきと思ったのが、ゲームにおけるマインドセット。長いこと同じチームで一緒にプレーしていると、どうしても慣れてくるし、ものの見方が固まってきて、それがどんどん普通になってしまう。だから、今回の合宿でも違った角度からのアプローチや考え方をどんどんチームに取り入れるようにしていて、いまのところすごくいい形で目に見えて向上してきていると思う。選手たちは前よりも自信を持ち、いい意味で変わっているのが見受けられる」

 指揮官が突然変わり、選手には動揺があったかもしれない。マキリ新ヘッドコーチは選手の個性を理解しようと努め、マインドセットを変えていくという意味でも、1対1の面接を大事にしているという。
「一人ひとり性格が違うし、チームがこうしようというのを持っていても、まったく同じ役割をみんなに与えることはできないので、違いを理解する。それから、同じことを言っても違う反応をしてくる選手がいるので、それを理解するためにも1対1の面接は大事だと思っている。それに、より選手にエンゲージしているという感覚も持てるし、人としてのつながりを大事に考えていきたいと思ってやっている」

 オリンピックへ向け、特に強化していこうと思っているのはディフェンスだ。
「オリンピックでは一番ディフェンスがいいチームと言われるくらいになりたい」
 エキサイティングなアタッキングラグビーをするためにも、積極果敢なディフェンスでボールを奪い返す力をつけていく。選手たちはそれをやるだけの力があると指揮官は信じている。

 世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、今夏のオリンピック開催を懸念する見方が出ているが、女子セブンズ日本代表を率いるマキリ ヘッドコーチはしっかりと前を向く。
「メンタルの面でも難しいことがあるし、犠牲を払う部分もある。プレッシャーを感じてしまうところもあるので、簡単なことではないが、そのなかでもできることを見いだして、これから来るであろう舞台に備える、ということに尽きると思う。オリンピックが開催されるかどうかに関しては、我々がコントロールできるものではないので、あるという前提で、やるべき準備をしていくだけだと思っている」

東京五輪を目指し練習に励む女子セブンズ日本代表候補の選手たち
(写真提供:日本ラグビーフットボール協会)

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