国内 2021.01.02
第100回、あす準々決勝! みんなの花園② 初めての勝利

第100回、あす準々決勝! みんなの花園② 初めての勝利

[ 成見宏樹 ]

 正則24-7都立六郷工科。12月20日、葛西工業高校グラウンドにて。

 勝利は、部員が集まり続ける状態を作るための工夫を絶え間なく更新してきたことの象徴だ。

 正則ラグビーに推薦入学はない。まだ強豪でもない。2020年、活動が制限される中で13人もの1年生、2人のマネージャーがクラブの門を叩いたのにはどんないきさつがあるのだろう。顧問、監督の宇田先生はワールドカップの影響は大きい、という。

「2015年は、そうですね。ラグビーの激しさがメディアで多く流れて、一般の子には、かえって敬遠されたかもしれません」(宇田先生)

「2019年は、自国開催の注目の中で、ジャパンがもっとすごい活躍をしてくれた。日本が負けた後も、注目は続きました。4年前よりももっと深いものが、限られたヒーローではなく、多くの人の人間性みたいな面までが、一般の人に伝わった」

 この春は、どのクラブも対面の勧誘活動ができなかった。そんな中で新入生たち引きつけたのは、部員の活気と笑顔だった、ラグビーそのものの空気だったと、宇田先生は感じた。

「部活どうし校庭をわけあって、平日は週2で45分だけ、テニスコート一面のスペース。それでも、ワイワイしてる生徒たちの夢中な顔は、よかったですよ。そもそもうちは、ハードのことを言い訳にしたら成立しない環境なので」(宇田先生)

 あの人たちと一緒に過ごしたら、なんかいい3年間になるかも。男の子も女の子も引きつける魅力が、ラグビー部にはあったんだろう。

 勧誘はダメ押しが大切だ。体験入部での武器は楽しいタグラグビー、タッチフットだ。今回はタッチもタグさえも使えなかったから、手のひらをパチンと鳴らすことでその代わりにした。それでも、初めてボールに触り、相手の間をすり抜けて一気に開けたフィールドを走る体験は多くの人を引きつけた。ラグビーは痛いし苦しいけれど、やっぱり楽しいものだと、ラグビー部自身がまた教わった。

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