日本代表 2020.12.26
私は私。大竹風美子[サクラセブンズ候補]の人生観、ラグビー観。

私は私。大竹風美子[サクラセブンズ候補]の人生観、ラグビー観。

[ 編集部 ]

 プロテニスプレーヤーの大坂なおみさんの生き方に共感する。アスリートとしても人間としても尊敬する存在だ。
「以前、ご自身のアイデンティティーを問われたときに、『私は私』と答えているシーンを見ました。そうだなあ、と」
 風美子は何人だよ。
 幼い頃、友だちが何気なく口にする言葉がグサッと心に刺さっていた。
「私はハーフであることとか、自分に自信がなかったんです。でも、いまは違います。私は私、と思えるようになった。特にラグビーを始めて、先輩や後輩たちにたくさん肯定してもらいました。若いうちから世界を転戦させてもらったことも大きかった。そういう経験を積んで、自分の生きていた世界は狭かったと知り、考え方が変わりました」
 自分の中に引き出しが増えたとも言う。

 アスリートだ。人間的な成長はパフォーマンスに直結する。さらに大竹の場合、ラグビー歴の蓄積がそのまま進化を呼んだ。
 ラグビーを始めた頃、潜在能力を迷わず発揮すればうまくいく時期があった。しかし、やがて誰もが壁にぶつかる。例外ではなかった。
「(金メダルを獲った)アジア大会(2018年)が終わった頃までは、ただ楽しくて、自由にやらせてもらっていました。映像を見ると、どうかなあと思うようなプレーもあった。でも、思い切りやったことで結果が出ているようなシーンもありました。そうだったのが、ちゃんと判断しながらプレーしなきゃ、と思うようになってうまくいかなくなった。迷いが出て、自分の良さもなくなったシーズンもありました」

 逡巡した。試行錯誤を繰り返した。そして気づき、決断。
「迷うぐらいなら、(判断が)間違っていてもいいから思い切りやろう、と」
 そう思えるようになって、自分のプレーを取り戻した。

 チームの中の自身の役割を、「盛り上げ役。チームを活気づけたい」と話す。
「チームが本当の意味でひとつになれるような行動をしていきたいと思っています」
 太い絆の仲間たちが本気で競い合う。そんな集団こそ強くなる。
「最後に誰が選ばれても背中を押せる。そんなチームになれるような過程を歩むことが大事だと思っています」

 思い描くような道を歩めたなら、チームは夢の舞台で人々を感動させるようなパフォーマンスを出せると信じる。
「私たちのプレーを見た人たちの中に、自分も今日の仕事を張り切ろうとか、学校で頑張ろうとか、そういうふうに感じてくれる人が少しでもいてくれたらいいな、と思っています」
 背伸びせず。自分らしく。
 そんな気持ちが伝わる言葉に、希望と決意が詰まっていた。

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