国内 2020.12.06

日体、最終戦で意地見せた。筑波は途中出場のFB松永貫汰が勝利の立役者

[ 明石尚之 ]
日体、最終戦で意地見せた。筑波は途中出場のFB松永貫汰が勝利の立役者
FB松永貫汰は後半7分の登場から2トライを決める大活躍(撮影:福島宏治)

 今季は5位までが全国大学選手権に出場できる関東大学対抗戦A。

 勝者が選手権への進出を決める、筑波大と日体大の直接対決が12月6日、熊谷ラグビー場でおこなわれ、41―14で筑波大が3年連続の選手権進出を勝ち取った。

 筑波大はここまで下位の青山学院大、立教大にそれぞれ80―5、52―7で圧勝してきた。一方、日体大は32―26、23―21と終盤まで追い込まれながらの辛勝。優勢と思われた筑波大がこの日もスコア上は快勝となったが、日体大は前半、ディフェンスで気を吐いた。

 前半の筑波大の得点は、PGを重ねて6点差とした日体大に迫るための1PGのみ。ノートライで3―6とビハインドで折り返した。

「フィジカルの強い筑波さんに対して前に上がってダブルタックルをする、準備してきたところが出せた」とLO玉置将也主将。低いタックルで相手の攻撃を停滞させ、自陣深くまで攻め込まれても、SH本堂杏虎らがジャッカルを決めた。

 2週間の準備の賜物だった。田沼広之監督は「非常にシンプルなことをしてきました。いわゆる原点復帰ではないですけど、1対1やディフェンスのシステムの確認とか。今更そんなことするの? ということをしっかりやった。そこで認識のズレを修正できて、やることを明確に、自信を持てた。だから前に出られたし、タックルに入れたんだと思います」と振り返る。

 一方、筑波大・嶋﨑達也監督は「自分たちが準備してきたプレーを出そうと臨んだが、日体大さんの低いタックルと絡みに非常に苦しんで、初めて選手たちが動揺したゲームでした。焦ったことで、BKが個々にいってしまうような状況になり、孤立した無理な状態が繰り返し起きてしまった」と反省。

 筑波大は後半立ち上がりもペナルティを重ね、相手にPGのチャンスを与えるなど(PGは失敗)、嫌な空気が続いた。

 だが7分、青学戦で負ったケガの影響で、この日は22番を着たFB松永貫汰の投入で流れが変わる。松永は交代直後に好キックでエリアを取り、アタックのラインに入っては、素早い横パスで大外にいる選手のゲインにつなげた。そして10分、CTB岡﨑航大主将の内に返すパスにタイミングよく走り、トライを決めた。

 BKのアタックにテンポが出てきた35分にも、相手キックオフから素早く展開されたボールを受けた松永はそのままスピードのギアを上げ、自陣から独走。試合を決めるトライを挙げた。

「松永が入ってから声が増えました。最後尾からの要求が非常に長けているので、その声を聞いて前の選手たちがすごくいいアタックができた」(岡﨑主将)

 筑波大は後半で一気に6トライを挙げ、41―14で試合を締めた。「こうしたゲームを乗り越えたことが財産になるので、しっかり反省して次に生かしたい」と嶋﨑監督。

 熊谷ラグビー場でおこなわれた2試合目で、慶大が帝京大に勝利したため、筑波大は対抗戦5位での選手権出場が決まった。

「(選手権への課題は)自分たちのラグビーの時間をどう作るのか、ということ。今回はそれができなかった時間帯が多かったので、準備したものをどう出すかを短い期間だが考えていきたい」(嶋﨑監督)

 一方の日体大は、12年ぶりの選手権進出とはならなかった。それでも、「筑波さんには入学した時から連敗していて、僕たちの代で絶対勝とうと言い続けてきました。言うだけではなくて練習、私生活、試合全てにおいて、4年生が態度や雰囲気で示してきた。こうした姿勢は後輩たちに残せたと思う」と玉置主将は胸を張った。

前半は筑波をノートライに抑えた日体大。接点で優位に立った(撮影:福島宏治)

PICK UP