REDS×BLUESで個性光る。サクラのジャージー、熊谷で激突。
名物の風もなく、穏やかな一日だった。
選手同士のライバル心がぶつかり合ったピッチの上は熱かった。
11月29日に熊谷ラグビー場でおこなわれた『リポビタンD presents JAPAN RUGBY CHALLENGE 2020』の観戦者は1417人。巨大なワールドカップスタジアムはガランとして見えたけれど、男女セブンズ日本代表候補、女子(15人制)日本代表候補の繰り広げたセレクションマッチは、サクラのジャージーが久々にファンの前で躍動する時間となった。
それぞれのカテゴリーが、ファーストジャージーの『REDS』とセカンドジャージーの『BLUES』に分かれて戦ったこの日。女子セブンズ代表候補の中で、強い意志を示したのは『REDS』の原わか花(東京山九フェニックス)だ。
相手チームの同じ位置には、これまでサクラセブンズのトライゲッターとして活躍してきた堤ほの花がいる。その相手に、強気で勝負を挑んだ。
ライバルを振り切って奪ったトライがあった。
ディフェンス時に頭が相手の歯とぶつかり、おでこには歯形付きのたんこぶができたが、そんなことは気にせず動き回った。
試合後、堤に好タックルを受けてトライラインに届かなかったシーンを振り返り、「あれでまた、負けたくないっ、と燃えました」。
この日のパフォーマンスとマインドは、首脳陣への好アピールとなった。その名は、ファンの記憶にも強く刻まれただろう。
男子セブンズでは、『BLUES』の主将を務めた本村直樹(ホンダ)がトライを量産して存在感を示した。
昨秋のフィジー遠征で右足の腓骨を骨折し、手術した。ほぼ1年ぶりにファンの前でプレーする。その緊張感が、いい方に出た。
爆発的なスピードやパワーがあるわけではない。「本村がいるとなんか安心だな、と言われるようになりたい」と話す通り、気の利いたプレーでボールを何度もインゴールに運んでみせた。
女子15人制日本代表では、『REDS』のハーフ団にスピード感があった。
キレのあるパスと走りが持ち味のSH阿部恵(アルカス熊谷)。前が見えるSO、大塚朱紗(RKUラグビー龍ケ崎GRACE)。ふたりがチームを前に出した。
後半から司令塔の位置に入った高木萌結も含め、51-22と快勝する80分をうまく作った。
レスリー・マッケンジー ヘッドコーチは、ホームのファンの前でプレーできたことを喜び、「こういう機会を求めていた」と感謝の言葉を口にして続けた。
「それぞれの選手たちがインパクトを残してくれたと思います」
実戦に近い空気の練習を心がけてはいても、ファンの見つめる試合の緊張感に勝るものはないだろう。
実のある一日だった。