国内 2020.11.21
中大、今季リーグ戦の初勝利へ「何が何でもやろうとしていることを、やる」。

中大、今季リーグ戦の初勝利へ「何が何でもやろうとしていることを、やる」。

[ 向 風見也 ]
話をする遠藤哲ヘッドコーチ(左)と川勝自然キャプテン(撮影:向 風見也)

 2017年から2年間、20歳以下日本代表を率いた遠藤HCが就任したのは、昨季のことだった。

 リコーでともにプレーした松田雄監督のもと、従来の同部よりもタフなセッションを提唱。攻守両面での鋭い出足、強固なモールを仕込んだ。複数のライバル校が擁する留学生選手を招かぬなか、個々の身体能力に頼らず勝つよう組織としての「武器」を磨いたのだ。

 初年度は結局、加盟する関東大学リーグ戦1部で2季連続の入替戦に突入。ただし現4年生は、プレースタイルの定着に手応えをつかむ。桐蔭学園出身でFLの川勝自然主将はいつも強調する。

「やることは、間違っていない」

 今季は、10月17日に大東大と29-29と引き分けたほかは4敗。10月4日には昨季2位の日大を敵地で28-33と苦しめたが、東海大、流経大といった他の上位陣には5-64、7-64と大差で屈している。

「競った試合と離れた試合との違いで言うと…。ちょっとした小さな差というものを、絶対に許しちゃいけないんだと痛感しますよね」とは、遠藤HC。例えば、少しでも防御網の形成や出足が理想から遠ざかる瞬間があれば、そこを契機に勢いよく攻められる。

「ほんのひとつの綻びが一瞬たりとも許せない試合がある。それを選手にわからせてあげられているかという点も含め、コーチとして感じるものがありました。もっとやれたな、やらせてあげられていたな…ということの繰り返しです。コーチがチームにつくなかで『勉強する』なんて言うのは、タブーじゃないですか。(選手にとっては)『なんだ、勉強に付き合わされるのか?』となるから。でも、やっぱり、学ぶんですよね。最初から完璧なコーチなんていないわけだし」

 目下、リーグ戦1部の計8チームのなかで唯一、今季の勝ち星に恵まれていない。川勝主将が「自分たちの細かいミスで(勝負は)どっちにも転ぶ。それは選手たちが感じている」と前を向くなか、遠藤HCは「僕たちの本当の力を出せば…ということに立ち返るしかない」。こうも続ける。

「相手は僕らのやろうとすることを阻止しようとする。ただ、そんななかでも、何が何でもやろうとしていることを、やる。それが、理屈を超えたところです」

 寮で話をする前には、近隣の多摩キャンパス内のグラウンドで全体練習を指導した。「貫け!」「腹を寄せろ!」。スクラムやモールにおける塊としての意志を、独自の言語で引き出す。

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