国内 2020.11.21

55-38。全勝対決は東海に軍配!流経大は26点差追いつくも逆転に至らず

[ 明石尚之 ]
55-38。全勝対決は東海に軍配!流経大は26点差追いつくも逆転に至らず
この日も落ち着いたプレーでボールを捌いたルーキー、SO武藤ゆらぎ(撮影:松本かおり)

 痺れる展開となった全勝対決。軍配は東海に上がった。

 11月21日は秩父宮ラグビー場で、関東大学リーグ戦1部の2試合がおこなわれた。第2試合は東海大と流通経済大。開幕から5連勝同士の全勝対決だった。

 お互いの優勝にかける思いの違いが勝敗を左右したのかもしれない。

「この試合に勝つことしか考えていなかった。この試合に勝てば優勝が決まる中で(勝ち点制になれば確定ではない)、選手たちは思った以上に硬かった。そこを東海さんは逃さなかった」と流経大・内山達二監督は話す。一方、東海大主将、NO8吉田大亮はこうだ。

「(優勝に対して)僕たちは特に意識せずに、気負うことなく臨みました。相手どうこうではなく、自分たちが今までやってきたことにチャレンジしようと、そこにこだわってやってきました」

 前半、ゲームを掌握したのは東海大。開始直後、LOワイサケ・ララトゥブアがジャッカルで相手のノット・リリース・ザ・ボールを引き出し、相手陣地へ。ラインアウトから、ここまで3戦連続先発中のルーキー、SO武藤ゆらぎが抜け出し、CTB杉浦拓実が先制トライを決めた。

 流経大も直後に大外で崩し、最後はFL篠澤輝がトライを奪って7―5と逆転するも、東海大のペースは変わらなかった。大外で待つNO8吉田がトライを沈め逆転すると、相手が放った同じようなハイパントから2度トライ。1度目は大外でWTB谷口宜顕、2度目は中央からFB酒井亮治のラインブレイクが起点となった。

 東海大・木村季由監督兼GMは「前半はディフェンスでしっかりと前に出ることもできて理想的な形だった」と話す。

 一方、流経大主将のFL坂本侑翼は「前半は相手FWの勢いに乗られ、幅が狭くなり、速いラインアタックでやられてしまった。しっかりスペーシングをしようと話したが、何回も同じ形で取られてしまった」と悔やむ。

 33―12で迎えた後半も東海大が先にトライを奪い、38―12とこの日最大の26点差がついた。

 流経大にとっては万事休すと思われたが、ここから驚異的な追い上げを見せる。

 7分、大外から決めたLOアピサロメ・ボギドラウのトライを皮切りに、12分、センターライン付近からFB河野竣太がラインブレイク。トライを決めると、今度はCTBヴィリアメ・タカヤワの負傷交代で入ったイノケ・ブルアが2本の豪快なラインブレイクを決め、2トライを演出。38―38。19分、ついに同点に追いついた。

「自分たちがボールを獲得できればトライまで持っていけるという自信があったので、後半はボールポゼッションができたことで同点まで持っていけた」(坂本主将)

 だがここから、FB河野の言葉を借りれば「勢いからのプラスアルファが甘かった」。

 同点直後、自陣からのキックがチャージに合い、ボールが後ろにこぼれる。好反応したWTB谷口が拾い上げ、LOララトゥブアがトライを決めた。

「同点になった時にリセットできるかというところだったのですが。そこでミスをしてしまった」(FB河野)

 残り20分、流経大にもまだ逆転のチャンスがあったが、東海大がここは意地を見せた。「想定外の流れになってしまったので、本来よりも早めの交代となった。攻める姿勢を呼び起こす意味でも」(木村監督)と交代したSO丸山凜太朗がトライ。42分にはLOレキマ・ナサミラが十八番のモールからトライを決めてノーサイド。

 55―38。両チームから合計15トライ(東海大9/流経大6)が飛び出すゲームとなった。

「後半は相手の強みであるアンストラクチャーで強いランナーに走られた。そこを修正できず同点にされたが、そこで自分たちのやること、やるべきことを見失わずに断ち切れたことが収穫」と吉田主将は振り返った。

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