偏愛・食い込み系記者の出場国プレビュー! ラグビー8カ国対抗戦 オータム・ネーションズカップ【ウェールズ/ジョージア】
2020秋のスペシャル・トーナメントが11月13日に幕を開ける。シックス・ネーションズにジョージアと南洋・フィジーを迎えて行われるオータム・ネーションズカップ2020だ。ラグビーリパブリックでは、出場各国に深く食い込む人物に原稿依頼。チームへの愛と造詣あふれるプレビューを掲載する。第2回はグループAから、名誉挽回を期すウェールズと、欧州トップシーンの門を叩く挑戦者・ジョージアを紹介。英国在住の竹鼻智氏、そしてジョージアは協会広報のアレクサンドル・ウジマジュリゼ氏からの情報提供だ。
ジョージアが受ける世界のテスト
レロス(ジョージア代表の愛称。ラグビーに似た、同国古来の民族スポーツ「Lelo」に似ていることが由来)が、欧州6か国対抗シックス・ネーションズの面々とともにオータム・ネーションズカップに参戦する。
これは輝かしい機会、というよりはジョージアにとって一つのテスト、洗礼となるのだろう。かねてからシックス・ネーションズのドアを叩いてきたレロスに、それだけの力があるのか。北半球のファンが注目する中、戦いが始まろうとしている。
チームの若さは、武器でもある。「ジュニア・レロス」と呼ばれるU20代表はジュニアワールドチャンピオンシップ(ジュニアワールドカップとも呼ばれるU20大会。世界上位12か国がエントリー)に参戦し、伝統的なパワー重視のスタイルとともに、ワイドでスピーディな魅せるラグビーで、スコットランド、アイルランド、イタリア、日本、アルゼンチンといったチームを倒してきた実績がある。こうした選手が成長していく中で、フル代表は新たな自信と飛び道具的な力を加えている。
PRグラム・ゴギチャシヴィリ、LO/FL オタール・ギオルガゼ、FLベカ・ゴルガゼ、ベカ・サギナゼ、SHヴァシル・ロブジャニゼ、ゲラ・アブラシゼ、SOテド・アブジャンダゼ。彼らはすでにフランスリーグのトップ14で名の知られた選手たちだ。
そのプレースタイルは対戦相手には驚きかもしれない。ジョージアは比較的新しい、改善されたチームで遠征をスタートさせる。ヘッドコーチのレバン・マイサシビリは、オータム・ネーションズカップに、国際経験のない選手も招集している。
レロスは献身的なディフェンスとパワー重視の強い接点を前面に出したプレースタイルが有名だ。そのスクラムは世界的に尊敬を集めており、エディー・ジョーンズがイングランドのスクラム改善のため2回合同練習に招いたほどだ。近年のコーチ陣の目標は、その実績のあるFWと、BKのプレーのバランスをとることだった。
マイサシビリHCは、2020年の欧州で、これまでの戦術を捨てたアタックを見せている。チームは重点的に攻撃の強化に力を注いできた。オータム・ネーションズでの力関係を考えれば、ディフェンス場面はどうしても多くなる。それでも指揮官は攻めのスタイル構築を貫こうとしている。いわく、「ディフェンスだけで成功することは不可能だ。大胆に攻め、試合をコントロールする必要がある」
そして、すでに仕事に当たっている経験豊富なスタッフたちは、イングランド、アイルランド、ウェールズに対し、驚きに満ちた魅力的なプレーを見せる助けになるだろう。
カルバン・モーリス(ハイパフォーマンスアドバイザー)、セバスチャン・ブルーノ(FWコーチ、2019年大会はフランス代表スクラムコーチ)、 デーヴィッド・ハンフリーズ(ハイパフォーマンスコンサルタント)、ネイル・ドーク(アタック&B Kコーチ)らは名うてのスペシャリストたち。ジョージアのリニューアルを加速させようとしている。元ジョージア代表のベシク・カラシュリゼ(BKコーチ)やギオルギ・キハイゼ(FWコーチ)、S&Cのトップであるイラクリ・キコニアの経験を後押しすることになるだろう。