各国代表 2020.11.08
フランスラグビー徒然。Novembre(11月)

フランスラグビー徒然。Novembre(11月)

[ 福本美由紀 ]


 9月から再びコロナウィルスの感染件数が増加し始めたフランス。10月からは増加のスピードが加速、1日の新規感染者数が5万を超える日もあった。10月21日、とうとうマクロン大統領がテレビ演説で、再び4週間ロックダウンを導入することを発表した。
 今回は、春に行われた時よりも規制が緩和されており、通勤は認められ、小中高校では通常通り授業は行われ、またプロスポーツの活動は無観客試合で継続されている。

 9月4日に開幕したトップ14は、事前のPCR検査で「1チームに3人以上陽性反応者が出れば試合は延期」というルールで行われている。
 11月3日現在、7節まで終了し、延期されたのは7試合。そのうち4試合は11月21, 22日に行われることになったが、トップ14だけでも試合数が多い上に、12月からはヨーロピアンカップも始まり、調整可能な週末は2月と3月の6ネーションズの期間に3つ残されているだけだ。

 6月25日の決勝のチケット販売が開始されたが、予定通り行われるかどうか、先行きは不透明だ。
 フランス政府が緊急事態宣言を来年2月16日まで延長することを決めたことからも、まだしばらく感染拡大が懸念される状態が続きそうだ。

 松島幸太朗が所属するクレルモンのプレス責任者、ヴァンサン・デュヴィヴィエが現状を話してくれた。
「今のところ、数人の無症状の感染者が出ただけ。だが、クレルモン=フェラン市内での感染者数が増加しているので、メディカルスタッフは検査の結果が出るまでドキドキしている。現在は週に1度、試合の3日前に検査が行われている。トレーニングや移動は通常通り行っており、クラブハウス内での食事も再開した。もちろん、選手もスタッフもとても気をつけているし、グラウンド以外ではマスクを着用している。こんな大変な状況でもラグビーができることに、選手たちは感謝している」

 ただ、財政的にはかなり厳しいようだ。
 ホームスタジアムは通常1万9000名は収容できるが、開幕当初の観客数上限5000人だと、1試合で30万ユーロ(約3660万円)の損失。その後の上限1000人では50万ユーロ(約6100万円)の損失。今は無観客になり、ホームで1試合するごとに75万ユーロ(約9150万円)の持ち出しとなる。
「このままの状況が続けば、チームの財政はさらに困窮し、年が明ければ経営破綻のリスクもある」

 フランス政府から4000万ユーロ(約49億円)が、TOP14と2部リーグのProD2の計30チームに支給されることになり、それぞれのチームのチケット収入の損失額に応じて分配される予定だ。
 しかし1チームに100万ユーロ(約1億2千万円)支給されるとしても、1か月分の全員への給与でほぼ消えてしまう。リーグ運営団体のLNRは、チームの負担を少しでも減らせるように、社会保険料の免除を政府に交渉している。

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