セブンズ 2020.11.06

東京五輪メダルへの道は「いろは」から 女子7人制ラグビー日本代表候補・長田いろは

[ 編集部 ]
東京五輪メダルへの道は「いろは」から 女子7人制ラグビー日本代表候補・長田いろは
女子7人制ラグビー五輪代表候補の長田いろは。写真は10月の熊谷合宿から(撮影:松本かおり)


 名前の由来は、「いろはにほへと」から。いろは歌の最初の3文字で、転じて、物事の始まり、基礎、という意味で使われることがある。両親には、何事でもいいから一番になってほしいという願いも込められていたのかもしれない。
「結構、私は競争心が強いので、そういうところも名前から無意識に、というか自然に……。スポーツの世界はなんでも競争心が大事だと思うんですけど、小さい頃から名前に影響されたのかな?(笑)」

 長田いろは。立正大学ラグビー部の4年生で、ARUKAS QUEEN KUMAGAYAの中心選手でもある21歳。そして、東京オリンピックを目指す女子セブンズ(7人制ラグビー)日本代表候補のひとりだ。
 15人制でも才能を認められ、18歳だった2017年夏にはアイルランドで開催された女子のラグビーワールドカップに出場し、桜ジャージーの背番号13をつけて全5試合でプレーした経験もある。
 来年9月18日から10月16日にかけてニュージーランドで開催されるラグビーワールドカップ2021にも出場したかった。しかし、今年あるはずだった東京オリンピックが新型コロナウイルス感染拡大の影響で1年延期となり、オリンピック競技の女子7人制ラグビーは2021年7月下旬(29日~31日)におこなわれることになったため、準備時間が限られているなかで2つの夢を追うのは難しく、15人制の大舞台を断念し7人制を選んだ。

「決断は、私のなかではすぐに出ました。オリンピックに出て、メダルを獲りたいから」

 もし成し遂げることができれば、初めての偉業達成者のひとりとして歴史に「いろは」の名前が刻まれる。

 オリンピック延期は、準備期間が増えたとプラスに考えた。コロナ禍でチームとしての活動が自粛を余儀なくされた期間は、故郷の福岡でトレーニングをした。もう一度自分のプレーを見直すチャンス。基礎に戻ろうと思って、実家にいた弟2人を相手に毎日パススキルを磨いた。大東文化大学1年生の一志も、筑紫高校2年生の士導もラグビーをしており、最高のパートナーを得た姉は「いい練習ができた」と振り返る。一志はフロントローもこなせるユーティリティFW、士導はプロップのため、7人制ではFWでプレーする長田いろはは、スクラムでの首の取り合いや、ボールの取り合い、コンタクトの練習もやることができた。

 長田は、10月28日から11月9日の日程で、埼玉県熊谷市にて実施中の女子セブンズ日本代表候補合宿に参加している。東京オリンピックでのメダル獲得を目指し、全員が世界と戦うための共通認識を持って練習に取り組んでいるという。

「海外の選手はスピードがあり、力も強い。『いまの間合いじゃ海外の選手だと届かないよ』とかみんなで話をしながら、日本が世界でどう勝つかを重点的に、そこにフォーカスして練習しています」

 世界で勝つために、チームとしてディフェンスは特に強化している部分であり、長田も個人的にもっと成長したいと思っている。アタックは、ブレイクダウンで力をつけてきたが、トライまでつながっていないことがチームの課題。なので、2つラインブレイクをしてトライを獲ることをチームの強みにしようと練習している。1つクリーンブレイクして、そこをオフロードパスでつなぐことを重点的にチームとしてやっている。

 このオフロードは、長田が自信を持っているプレーだ。
「自分で仕掛けて、オフロードでつなぐのが強みです。もっと練習して、最終的に完成させたいと思っています」

 世界で通用するものを増やすため、個人でもチームとしても、基礎から見直してやってきた。
 東京オリンピックまで9か月を切ったが、まだ時間はある。
 「いろは」から取り組んできた成果を、大舞台で発揮したい。

11月5日、オンラインでの合同取材に応じた長田いろは

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