国内 2020.11.05

元NZ代表のスミスとクルーデンが神戸で会見 新たな大物“スティールワーカー”に期待高まる

[ 森本優子 ]
元NZ代表のスミスとクルーデンが神戸で会見 新たな大物“スティールワーカー”に期待高まる
神戸ファストジャイロの選手から花束を受け取るベン・スミス(左)とアーロン・クルーデン(撮影:BBM)


「こんにちは。ありがとうゴリさん(福本正幸チームディレクター)。皆さんとプレーするのを楽しみにしてます。神戸の優勝に貢献できるよう頑張ります」(ベン・スミス)

「ありがとうゴリさん。こんにちは。私はアーロン・クルーデンです。ニュージーランドから来ました。私と私の家族をウェルカムしてくれて、スティーラーズの一員になれること、神戸のやり方を学ぶこと。すぐにでもプレーしたいです。よろしくお願いします」(アーロン・クルーデン)

 世界のトッププレーヤーは、のっけから日本語で挨拶。たどたどしい口調ながらも、メモを見ずに一気に話し切り、一流たる所以を披露した。

 11月4日、神戸製鋼コベルコスティーラーズに入団した元オールブラックス、ベン・スミスとアーロン・クルーデンの二人が入団会見をおこなった。
 舞台となったのは神戸港に停泊するリゾートクルーズ船『boh boh KOBE』のデッキ。新型コロナウイルス対策として密を避けることが主な理由だが、それだけではない。船を所有する早駒運輸は、神戸にある女子ラグビーチーム「ファストジャイロ」をサポート。近くの神戸港ターミナルには故・平尾誠二氏のバナーも飾られるなど、幾重にもラグビーと縁のある場所だ。
 二人は来日してしばらく自主隔離をし、10月29日から正式に練習に合流し、入団会見を迎えた。

 2018年度、15季ぶりにトップリーグを制した神戸製鋼。昨年度はコロナ感染拡大の影響によりシーズン途中で大会中止となり、シーズン終了後にSOダン・カーター、SHアンドリュー・エリスらが退団(二人ともアドバイザーに就任)、新たな補強が注目されていた。

 ベン・スミスは2009~2019シーズン、ハイランダーズでプレー。ジェイミー・ジョセフ監督の下、共同主将として2015年にはスーパーラグビーで初優勝。ニュージーランド代表としても2015年ワールドカップで戴冠した。重ねたキャップは84、ユーティリティプレーヤーではあるが、世界一のFBと称された。

 アーロン・クルーデンは2009年、日本で開催されたジュニア・ワールドチャンピオンシップで優勝したU20ニュージーランド代表の司令塔。チーフスでも2012年と2013年にスーパーラグビーを制している。オールブラックとしてキャップ50。2011年ワールドカップでは当初は選に漏れたが、大会中にダン・カーター負傷の後を受け急遽、招集。地元でフランスを下した決勝にも出場している。どちらも間違いなく、世界最高クラスのプレーヤーだ。

「ウェイン(スミス総監督)が彼らを必要としました」とは福本ディレクター。それはスキルやプレー以上に、二人が仲間のために貢献する「スティール・ワーカー」(スミス総監督の歓迎メッセージより)であることの証明でもある。

 神戸製鋼に加入を決めた理由としてベン・スミスは「素晴らしいレガシーのあるチーム。ハイランダーズで一緒にプレーした選手が何人もいます(トム・フランクリン、ヘイデン・パーカー、リチャード・バックマン)。彼らと一緒に毎日少しずつでも成長していけたら」。

 クルーデンは「プロになってから、いろんな国でプレーするのが夢でした。ニュージーランド、フランス、そして日本。日本のラグビーはこの数年、目覚ましいレベルで上がっています」。

 コロナ禍で試合からは遠ざかっているが、二人ともこの数か月、母国でみっちりとトレーニング。身体の状態は非常にいいという。

「グラウンドの幅をいっぱいに使ったラグビーをしたい。神戸の優勝に貢献したい」(ベン・スミス)

「アタッキングラグビーは以前からのスタイル。神戸でさらに発揮するチャンス。まずチームメートのリスペクトを得なくては」(アーロン・クルーデン)

 二人とも現時点では2シーズンの契約。最後のトップリーグと、再来年に誕生する新しいリーグをスティーラーズとしてプレーすることになる。

デッキに張られた平尾誠二氏のバナーを挟んで(撮影:BBM)

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