セブンズ 2020.10.17

指揮官の厳しい指摘で一皮むけた本村直樹 骨折からも復活し東京五輪へ向けもっとたくましく

[ 編集部 ]
指揮官の厳しい指摘で一皮むけた本村直樹 骨折からも復活し東京五輪へ向けもっとたくましく
鹿児島合宿中の本村直樹(写真提供:日本ラグビーフットボール協会)


 東京オリンピックでのメダル獲得へ向け、男子7人制ラグビー(セブンズ)の代表候補選手たちは10月8日から16日まで鹿児島で強化合宿をおこなっていた。そのなかには、脚の骨折から復活した本村直樹(Honda HEAT)の姿もあった。

「去年11月のフィジー遠征で、右のすね、腓骨(ひこつ)を骨折したんです。足首をひねって、腓骨の真ん中あたりが折れたみたいで。オリンピックに間に合わせるため、すぐに手術をしました。でも、ドクターの話を聞き、そんなに重く捉えてはいなかったです。逆に、その前のシーズンはアジア大会から全大会参加していたので、2、3か月くらい休めるかなと。いい休養だと思っていました。手術も入院も初めてでしたが、自分自身は治れば大丈夫だと思っていました」

 順調に回復し、4月あたりから合宿にフル参加するつもりでいた。
 けがからの完全復活を目指して時間とも戦っていたアスリートにとっては、幸か不幸か、2020年夏に開催予定だった東京オリンピックは新型コロナウイルスの影響で1年延期が決まった。
「けがのこともあり、自分的には1年伸びた方がベストなコンディションで臨めたかなという気持ちはもちろんあるんですけど、(本番まで)あと3、4か月後に迫っていたので、(延期決定は)メンタル的に多少、難しい部分はありました。でも気持ちを切り替えて、あと1年コンディションを整えて、ポジティブに捉えていこうと思いました。オリンピックでメダルを獲るという目標は変わらない。それなら、切り替えてまた1年いい準備をしようと」

 今回の鹿児島合宿では、試合形式の練習もあった。7分ハーフではないが、3分×4セットという形でゲームタイムとほぼ同じ程度の時間で試合をしたという。本村にとっては、1年ぶりにフルコンタクトのゲームをしたことになる。
「実際にフルコンタクトのゲームができ、内容的にも決して悪くなかったです。いままでラグビーができなくてたまっていたものもあり、本気でぶつかりあって、ゲームができて楽しかったです」

 ここ数シーズン、けがによる長期離脱を除いて、本村は安定したパフォーマンスを続けている。
 その裏には、岩渕健輔ヘッドコーチからの厳しい指摘があった。
 2018年、岩渕体制となって初めて臨む大会だったワールドカップ・セブンズのメンバーに本村は選ばれなかった。
「そのときに『ミスの回数うんぬんではなく、チャンスでボールを落としている』と言われました。『そういうことはチームの士気にも関わってくる』と指摘されたんです。オリンピックまで2年あるタイミングでそういうふうに厳しいことを言ってもらったので、そこから自分のことを見つめ直しました。自分だけでなく、周りを見るようになった。士気という部分で、自分の一つのプレーの重さを考えるようになっていきました」

 本村は自身について、松井千士のようなトライゲッターではないという。自分の良さはスピードと持久力。自分が走り回って、サポートし、チームとしてチャンスでトライを取り切れるようになりたいと思っている。

 鹿児島合宿はいい雰囲気でおこなわれたようだ。
 東京オリンピックまであと約9か月。
 メダル獲得への強化とともに、代表入りをかけた選手たちの競争も激しくなっていく。

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