国内 2020.10.04

他部でクラスター発生も「やれることをやる」。日体大ラグビー部・田沼広之監督の心境は。

[ 向 風見也 ]
他部でクラスター発生も「やれることをやる」。日体大ラグビー部・田沼広之監督の心境は。
9月19日の練習試合時、選手と話す日体大の田沼広之監督(撮影:向 風見也)


 関東大学ラグビー対抗戦は10月4日、各地で開幕する。

 全てのクラブが新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けるなか、全ての参加者の思いを代弁するのは日体大の田沼広之監督だ。
 
「(対抗戦が)できるということがよかった。神様に祈る部分と、自分たちでやる部分の両方がありますが、全試合、対抗戦として脱落なく戦えれば」

 話をしたのは9月19日。神奈川県内の敵地で、専大との練習試合を10-55で落としていた。総括の声は「80分を通して(実戦を)やったのはきょうが初めて。課題が出たのが収穫ですね」。スタートラインに立つまでに、多くの試練を乗り越えてきた。

 8月中旬には他部でクラスターが発生。当該者との濃厚接触者がいなかったラグビー部も、約1週間の活動停止を余儀なくされた。一時解散から活動を再開させて間もない頃だっただけに、突然踏まれたブレーキに戸惑いは隠せなかったろう。

「そこまで詰めてやってきたので、1週間は大きかったですね。春からやってこられたなかでの1週間(の休み)ではなく、やっと(練習が)できる…となった後の1週間だったので…」

 雌伏期間は、感染症対策のレギュレーションを大学当局へ提出。寮を一斉に消毒し、現在は各所へアルコール剤を置く。入浴のタイミングなどのルールも策定している。

「やれることをきっちりやっていく。そして、自分に何かがあったらすぐに連絡するように(と伝えている)」

 指揮官は言う。

「いまは気を付けていてもなる(感染する)可能性がある。毎日、緊張しています」

 後ろは振り向かない。夏場は合宿へ行かない代わりに、本拠地で2部練習を重ねた。専大戦時は蓄積疲労があったと見ていて、開幕へは「チームの(連携)」と「コンティション」を整えるという。

 3人いるトンガ出身選手はすべて欠場。19日の試合でも出たのはNO8で先発のミキロニ・リサラのみだ。昨季NO8からCTBに転じたクリスチャン・ラウイはけがからの復帰を目指す。FL、WTB、FBをこなすハラトア・ヴァイレアは海外滞在時に世界をコロナ禍が遭っていたため、帰国が遅れた。専大戦の直前まで、自主隔離を強いられていた。

 昨季8チーム中5位だったチームがさらに上位進出を狙うにあたり、キーマン3人の復調ぶりは気になるところか。

 初戦の相手は帝京大。2017年度まで大学選手権を9連覇した強豪と、都内の対戦校グラウンドでぶつかる(無観客)。日本代表だった現役時代から大きな声を発してきた指揮官は、「チャレンジできる」ことを喜ぶ。

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