17歳で世界のベスト15に選ばれた津久井萌 来年のW杯へ向け同世代の五輪候補も刺激に
2017年にアイルランドで開催された女子のラグビーワールドカップに日本代表史上最年少の17歳で出場し、全5試合でサクラフィフティーン(女子15人制日本代表)の先発スクラムハーフを務め、日本人女子として初めて世界のベストフィフティーンに選出された津久井萌。群馬県の東京農業大第二高校を卒業し、いまは青山学院大学の3年生になった。もちろん、1年後のワールドカップを目指す候補選手のひとりである。
9月23日から27日にかけて、女子15人制定山渓(北海道)合同合宿に参加した。
「3月からずっと合宿がなくて、先月はオンラインでやったんですけど、やっぱりみんなで直接会って、一緒に高いレベルでラグビーができるのがすごくうれしいです」
青山学院大学ラグビー部だけでなく、横河武蔵野アルテミ・スターズにも所属する。
新型コロナウイルスの影響でチームの活動が自粛となった期間は、実家に戻ってトレーニングをしていた。
「自分の課題がゲームフィットネスがないことなので、フィットネストレーニングとして、近くの公園に走りに行ったりしていました。自宅にはウエイトトレーニング機器があって、ウエイトトレーニングは週5くらいでやっていました。あとは、スクラムハーフなのでパス練習とキック練習は父に手伝ってもらったりとか」
シャドーボール(壁当てしてひとりでパス練習などができるボール)を使っての練習もしていたという津久井だが、前回のワールドカップでロックとして活躍した女子日本代表の櫻井綾乃も地元が同じであり、自粛期間中に一緒に練習したことも明かした。
「綾乃ちゃんが群馬に帰ってきてて、(実家が)すごい近かったので、近くの公園で一緒に練習をしました。綾乃ちゃんがいたことで、自分の弱みを練習できたのがすごくありがたかったです。私はゲームフィットネスがなく、疲れたときにパスが乱れることがある。練習では、パスをキャッチしてくれる人がいないと正確さを追求できないので、綾乃ちゃんが毎回同じ位置に立つんじゃなくて、ちょっとずらして立ってくれたりしたので、いい練習ができました」
来年の大舞台を見据え成長を続ける津久井は、昨年日本で開催された男子のワールドカップでも刺激を受けていた。
「男子がベスト8に入って、電車に乗っててもテレビをつけても、ずっとラグビーの映像とかが流れてて、CMにもラグビー選手が出たりして、私たちも男子みたいに結果を残してラグビーを広めていきたいと思いました。すごく燃えるというか、私たちももっと頑張らないとなというふうに思いました」
目を見張ったのは、優勝した南アフリカ代表のファフ・デクラークだ。
「スクラムハーフなのに強気で、ディフェンスでもアタックでも強気で行くところが自分にとっても刺激になりました」
自分たちが挑む来年のワールドカップの予選は開催時期未定だが、アジアを制し必ず出場権をつかみ、本大会では一つでも多く勝つという目標は変わっていない。決戦の時まで弱みを克服し、強みを伸ばせるように練習を重ねていく。
ラグビーワールドカップ2021は、ニュージーランドで9月18日開幕、10月16日までおこなわれる。日本では7月、8月に東京オリンピックが開催される予定で、ラグビー界のビッグイベントが2つ、近い時期に開催されることになる。オリンピックでは7人制ラグビーが正式競技となっており、津久井も意識せずにはいられない。
「自分としては、同世代の子たちがセブンズの代表としても活動している人が多く、セブンズも頑張っているから、15人制も負けないように頑張らないと。すごく刺激になります。(東京オリンピック代表候補の)平野優芽、田中笑伊とはふだんからずっと仲がよく、ちっちゃい頃からユースとかで一緒にやってきたので、その2人はいい仲間でもあり、いいライバルという感じです」
20歳の津久井は燃えている。来年、また世界の大舞台で輝けることを信じて。