女子 2020.09.28

再び世界に挑む齊藤聖奈 1年後の女子W杯へ向け北海道合宿で「プラス1%」

[ 編集部 ]
再び世界に挑む齊藤聖奈 1年後の女子W杯へ向け北海道合宿で「プラス1%」
9月26日にオンライン取材に応じた齊藤聖奈


 来年9月、10月にニュージーランドで開催されるラグビーワールドカップ2021(女子大会)へ向け、女子15人制日本代表“サクラフィフティーン”の候補選手たちが9月23日から27日にかけて北海道で強化合宿をおこなった。新型コロナウイルスの影響により通常練習が困難な状況が長く続き、7月、8月にはオンラインでのリモートキャンプを実施していたが、集合しての合同合宿は約半年ぶり。今回の北海道定山渓合宿には38選手が参加し、コロナ対策を徹底しながら12人程度のグループに分かれてトレーニングなどをおこなった。

 2大会連続5回目のワールドカップ出場を目指すサクラフィフティーンだが、コロナ禍でアジア予選は延期となり、出場権をかけた戦いはいつ実施されるのか未定の状態。しかし、選手たちはモチベーションをしっかり保っている。

「予選延期は、チームとしてはマイナスには受け止めていません。自分たちがターゲットにしているのはワールドカップ。予選は一つの通過点なので、自分たちができる準備をしっかりして、来年のワールドカップに向かっているという感じです。自分たちがコントロールできることをしっかりコントロールして、前向きにやれています」

 そう話すのは、前回のワールドカップでキャプテンを務めた齊藤聖奈だ。女子日本代表として23キャップを持つ28歳。2019年11月には現キャプテンの南早紀とともに、世界各国のトッププレーヤーを集めてチーム編成されるバーバリアンズに女子日本代表選手として初めて招待された。

 再び世界の大舞台で戦うために、日本代表チームとしての活動自粛期間中もコーチングスタッフから与えられたトレーニングメニューで各自鍛え、合宿での測定ではほとんどの選手が目標数値をクリアするなど、意識の高さがうかがえたと齊藤は話す。

北海道の定山渓で強化合宿をおこなった女子15人制日本代表の候補選手たち©️JRFU

「今回の合宿は『1%』というのがテーマなんです。オン・ザ・フィールド、オフ・ザ・フィールド関係なく、どうやって自分の1%を超えるか。限界からプラス1%いくにはどうしたらいいかというのをフォーカスしてやっています。フィールドでいうとトランジション(攻守の切り替え)のところをテーマにやっていて、戦術的に、そこで1%どうやってゲインしていくかというのをやっています。より速く、というのはずっと徹底してきたことなので、トランジションが起きたときに、どういう判断でスペースに速くボールを持っていけるか、周りのサポートしている選手がどういう動きをするのかというのを集中的にやっています」

 前回のワールドカップではフッカーとして出場した齊藤だが、昨年1月に就任したレスリー・マッケンジー ヘッドコーチのもとでは、フランカーとしてプレーしている。
「フロントローにしたらちょっと体が小さいし(身長164センチ、体重67キロ)、機動力をもっと生かすにはフランカーが向いているんじゃないかとレスリーさんからアドバイスをいただいて、新しいポジションにチャレンジしてみようかなと思いました」

 経験豊富でリーダーシップスキルも高い齊藤だが、昨年のオーストラリア遠征からキャプテンは南早紀が務めている。それについて訊かれると、「リーダーじゃない方がのびのび、楽しくやっていけてる」と言って笑いながらも、「早紀をサポートしていきたい気持ちが大きいです。年齢もチームでは結構上の方になるので、ナチュラルにリーダーシップをとっていけたらなと思っています」と話した。

 いまフォーカスするのは1年後のワールドカップだが、2025年大会または2029年の女子ワールドカップを日本で開催できないかという声が沸き起こりつつある。もし実現すれば、この国の女子ラグビー選手にとっては大きな夢となり、齊藤も意欲を見せた。

「男子の去年のワールドカップを見て、私たち女子も絶対日本でやりたいという思いはみんなすごく強くて、そういう話もよく出ています。選手間でもどうやって女子ラグビーを日本全国に広めて知っていただくか、というのを話し合ったりしているので、選手としては日本開催をすごく望んでいます。私はいま28歳で、2021年をターゲットに頑張っていますが、21年大会後、もう一回やりたいなと思ったら25年を目指して、25年のときにもう一回やりたいと思ったら29年を目指してやっていきたいと思います」

 日本の女子ラグビー界にも、頼もしい選手が確かにいる。

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