コラム
2020.08.24
【コラム】続スガダイラは生きている。
14日の御所実vs國學院栃木の試合が終盤に入った。
互いの打つ「手」にも慣れて落ち着いた展開に。最後はトライ数4本-2本で御所実が押さえたこの試合も、残り5分になるとあのコールが聞こえてきた。
「ゴセ、ジカーンターイ」
御所、時間帯。その場にいる部員全員がフィールドに向かって叫ぶ。
タッチライン側の部員二人に聞くと、競うように答えてくれた。
「残り5分は、攻め続ける。蹴らない。相手にボールを渡さない」
昨年度で4度の決勝を経験している強豪ならではルーティーン。でありながら誰もがそこに思いを語れるところに文化を感じた。
御所実のグラウンドには試合以外にも他校が出入りし、合同練習なども行われていた。人を呼び入れることを止めないオープンな関係の中で、独自の道を作り貫く。夏合宿は、御所実にとっても、今年は稀な「いつもの」光景が見られる機会になった。
厳寒のロシアが生んだ物語、「森は生きている」では、春の月の精が、ひとときだけ冬に舞い降り人間に恵みを与えるストーリー。高校ラグビーマンにとって菅平での時間は、本当に久しぶりに受け取った、いつものラグビーの時間だったのではないか。この恵みにあずかれなかったラグビーマンにも、秋、冬にはみんなに精が降りますように。