コラム 2020.07.20

【ラグリパWest】 トップリーグの隠し玉。栗本勘司 [関大FL]

[ 鎮 勝也 ]
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【ラグリパWest】 トップリーグの隠し玉。栗本勘司 [関大FL]
持ち前の激しいプレーでトップリーグ入りを狙う。関大FLの栗本勘司。この新凱風館(しんがいふうかん)にはラグビー部の部室がある。


 トップリーグに行く―。
 そう心に決めて栗本勘司(くりもと・かんじ)は日々を送る。

 関大の3年生FLはプロ野球のドラフト会議でいう「隠し玉」。中央に知られていないが、指名される力を持つ。

「僕はラグビー以外の楽しみがないので、トップリーグを強く意識しています」
 日焼けした顔、181センチの身長から漂うのはアイランダー系の匂い。東南アジアを研究する文学部生でもある。

 コーチの森拓郎は開口一番に言った。
「情熱がすごいです」
 コロナ禍の間の個人練習では、常人離れしたスクワットに励む。重さは130キロも70キロの弟・祥平を肩車しながら、60キロのバーベルを釣りの感じで両手で抱える。15回を10セットこなした。

 森はサニックスでの現役時代、日本代表ヘッドコーチのジェイミー・ジョセフとFW第3列を形成した。
「栗本はザ・フランカー。体を張ります。どこに出しても恥ずかしくありません」

 自分を追い込むトレーニングで、体重は昨秋よりも7キロ増の94キロにした。それでも、10メートル走はチーム1の1秒57。体を大きくして、速さは落とさない。

 栗本は3兄弟の真ん中。みな、報徳学園に学んだ。弟は3年に在学中。少林寺拳法部だ。自身は野球からラグビーに移る。
「アニキに負けたくないという思いもあって、一丁やったるかあ、となりました」
 4歳上の兄・悠佑もFL。龍谷大から三菱自動車水島に進み、ラグビーを続けている。

 初心者のハンディを克服したのは居残り練習だった。2時間近く費やす。
「昭和の練習を延々としました。タックルバッグにおもっくそ入る、みたいな。成長している実感があって、毎日楽しかったです」
 職員から「はよ帰り」と学校から追い出されるのが日課になった。

 努力は実り、3年生でレギュラーになる。97回全国大会(2017年度)では登録メンバー30人中、唯一の未経験者だった。
 同級生には明大に進学するCTB江藤良やFB雲山弘貴がいた。

 2回戦では御所実を22-17で破る。
「試合前に勝った、と思いました。ロッカーの雰囲気がやばかったです。みんな感極まって泣いていました」
 シード校倒しで記憶に残ることがある。
「えぐいタックルを決めて、次のファイトでジャッカルしたのですが、実況のアナウンサーが宮下(=大輝、現・立命大)と間違えました。がっくりきました」
 関西の学生らしく笑いを混ぜる。

「プチストーリーがあって、陸上をやったアニキも初心者で、3年でレギュラーを獲って、ベストエイトで仰星に負けました」
 道を示してくれた兄と歴史のかぶりがうれしい。栗本の時は20-50、兄の時(93回大会)は17-66。現・東海大大阪仰星はどちらの大会も制している。

 関大進学は監督の西條裕朗に「どや?」と聞かれた。
「たずねたら、はい、と返事をする子に話を持って行ったと思います」
 学業や品行や大学からの位置的なリクエストもあったが、決定打はその素直さだった。

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