【ラグリパWest】 トップリーグの隠し玉。栗本勘司 [関大FL]
関大は1923年(大正12)創部。関西では同大、京大に続き3番目の歴史を持つ。
白紺ジャージーの最初の2年はケガに泣いた。1年はヒザのじん帯。2年は足を複雑骨折する。隠し玉のゆえんは公式戦にほぼ出ていないことにある。
昨年の4月3日、関西学大の試合で右の腓骨(ひこつ)と脛骨(けいこつ)を同時に折った。グラウンドに救急車が入る。森は話す。
「復帰できないかもしれない、と医師に言われたそうです」
ところが、アピールポイントにもなる驚異的な回復力を見せる。12月8日の入替戦では後半20分から出場。43-21で大体大を降し、Aリーグ再昇格の力になった。
コロナ禍で開催が危ぶまれた今季の関西リーグは10月10日の開幕に決まった。
栗本には人生をかける秋になる。
トップリーグは基本的に3年生までに獲得選手を絞る。4年生で活躍しても遅い。
「それはわかっています。賭けていた春シーズンがなくなってしまったので、この秋はとにかく頑張るしかありません」
リーグ16チームの新卒の総計は60人ほど。各チーム4人前後と狭き門だ。
特にFW第3列は基本的に外国人のポジション。パナソニックのデービッド・ポーコック(オーストラリア)やクボタを退団したドウェイン・フェルミューレン(南アフリカ)らがその象徴である。2人の代表キャップは83と54を数える。
「僕は強い人を超えていきたいんです」
不利をものともしない闘魂がある。
現在、関大出身のトップリーガーは7人。先ごろ、サニックスから神戸製鋼に移籍したPR尾池亨允(こうすけ)、HondaのPR藤井拓海、日野のPR村上玲央、サニックスにはHO倉屋望とSH木下皓太、NTTドコモにはPR杉本達郎とCTB小林正旗がいる。
8番目として続きたい。
関大のチーム目標は決まっている。
「大学選手権に出られる3位以内に入る」
それが達成できれば、栗本の姿はいやでも採用担当(スカウト)の目に留まる。
チーム成績と自身の熱望は連動する。この秋、白星を重ねていきたい。