国内 2020.06.14
福岡堅樹「自分の決めたものを貫く」、医学の道へ。7人制も日本代表引退、現役は続行。

福岡堅樹「自分の決めたものを貫く」、医学の道へ。7人制も日本代表引退、現役は続行。

[ 編集部 ]
日本代表として最後の試合となった2019ワールドカップ準々決勝後、ファンに手を振る(撮影:高塩隆)

 後悔はない。東京オリンピックに挑戦できず少し心残りはあるが、セカンドキャリアに進むというところで、後悔はしていないと言い切れる。コロナでオリンピックが延期になったことについては、「自分はこういう運命だったのかなと受け入れることができたので、落胆はしなかった」。
 日本代表の活動から離れ、これからは勉強に費やす時間が増える。セカンドキャリアへの準備に充てられるので、タイミングとしてはむしろよかったかなと、自分のなかでスッキリと受け入れることができたという。

 コロナ禍、医療従事者たちが大変な状況にあるなかで、改めて医学の道に進みたいという思いは強くなった。自分の親族や身の回りに医療従事者はたくさんいる。その人たちの奮闘ぶりを見て、決意するものが確かにあった。
 祖父は内科医、父は歯科医という、医師の家系に生まれ育った。高校生のときに膝の前十字靱帯を損傷し、手術をしてくれた整形外科医にも感銘を受け、医学の道へ進むことを決めた。大学は、1年間の浪人生活を経て筑波大学の情報学群に進学したが、医師になるという志は持ち続け、改めて、勉強に取り組む。

 医療に携わる人間として理想像はあるかと訊かれると、こう答えた。
「医学を学んでいき、研修医などを経験するなかで、いろいろと変わることはあると思うのでどの分野に進むかははっきりと言えないですけど、アスリートとしての気持ちもわかるので、けがを治すことだけではなく、精神的な部分でもしっかり寄り添ってあげられるようなお医者さんになれたらいいなという思いはずっと持っています」

 東京オリンピック挑戦は断念したが、世界中のトップアスリートたちが集う夢の舞台は一度経験している。2016年のリオデジャネイロオリンピックに7人制ラグビー日本代表として出場し、オリンピアンになった。それ以前にもセブンズの国際舞台は踏んでいたが、リオオリンピックでも活躍し、強豪のニュージーランド代表から金星を挙げるなどしてベスト4入りの快挙を達成している。
「オリンピックという舞台では、メダルを獲るか獲らないか、その大きな差というものを実感させられたので、今回こそは必ずメダルを獲りたいと思っていました。なので、多少の悔いは残るかもしれないですが、自分自身が挑戦しなくても、(7人制日本代表候補には)すばらしい選手たちがたくさんいます。彼らがきっとメダルを獲ってくれると信じて応援したいです」
 コロナが収束に向かって東京オリンピックが開催されれば、そのことにも感謝をして、成功を祈りながら応援するつもりだ。

2016リオオリンピックの準々決勝でフランスを破り歓喜(Photo: Getty Images)

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