その他
2020.04.19
「狼に食べられないように」外出制限下のトゥールーズより。
「厳しいのは、フィジカルよりもメンタルの維持かな。シーズンが再開されるのか、されるなら、いつ、どのようなコンディションで…先のことがわからないから。それ以外は問題ない。家族でトレーニングセッションを一緒に楽しむこともある。僕は一軒家に住んでいるし、外出できなくても庭に出ることができる。一緒にいられる家族もいる。今回の外出制限で、家族と家にいることがこんなに居心地がいいことだとあらためて気づいた。恵まれていることに感謝している。
何よりも、僕たちを感染症から守るために日々最前線で戦ってくれている医療関係者に感謝している。今、僕たちが健康で、家族と一緒にこうやっていられるのも彼らのお陰だから。そんな中で、スポーツ選手としてできることは限られているが、『家にいよう』というメッセージを発信して人々に呼びかけている」
TOP 14 RugbyのSNSのアカウントには、各チームの選手が「家にいよう」と呼びかけている動画が投稿されている。ラストにメダールが愛娘のルイゾンちゃんと登場する。「コロナウイルスと戦うために」とメダールが言うと「おうちにいてね。おうちにいればオオカミに食べられないのよ」と愛娘が言う。
父親となり、またベテラン選手として参加した昨年のワールドカップでは、試合後はいつもルイゾンを腕に抱えてスタンドのファンに手を振っていた。そして、常にロッカールームの掃除をしていた。試合会場でも、練習会場でも、ほうきを持って床を掃き、ゴミを拾い、散乱しているボールやウエイト器具、空になったペットボトルを、いつも黙々と片付けていた。
オオカミに食べられる人が、これ以上増えないことを祈るばかりである。
(2020年4月13日インタビュー/福本美由紀)