その他 2020.04.06
【動画メニュー】初心者から育てる。浦和高校のトレーニング [1]

【動画メニュー】初心者から育てる。浦和高校のトレーニング [1]


山本監督 ポジションに関係なく、ボールに数多く触れるように意識はしています。例えば、ただ走るのではなく、動きのなかにハンドリングの要素を入れるとか。

三宅部長 選手自身のモチベーションが重要です。私はアタックに関してはほとんど選手に託します。彼らも張り切っていろいろ考えてくる。ただ、提示してきたものへのチェックは厳しくします。たとえばラインアウトのセットリスト(サインのパターン)を生徒が出してきます。単に「いいね!」ではなくて、「穴」が見えたらそれは指摘をする。

「相手がこうきた場合は考えてる?」「少なくとも『表と裏』を考えないと、試合中に八方塞がりになるよ」

「想定が甘くない? 一つ習ったら、二つ、三つくらいまで先は自分たちで想定して作らないと」

 こういう時には、生徒はまた真剣に作り直しをしたり、数人で残って練習をしたりしています。そういう時の練習が一番、上手くなりますよね。

――一方で、ディフェンスやモールについては、練習でも、かなり細かい指示が飛んでいます。

三宅部長 ディフェンスはリアクション。「相手がこうきたら、こう」とやることがはっきりしています。チームのシステムを覚えて、体がとっさに反応できるようになるまで教え込む。性格、能力的に、ここで持ち味を発揮する、存在意義を見出す生徒もいます。この領域は浦高の生命線なので、じっくりやって一定のレベルまで持っていく。ただ、「なぜ、これが必要か」「どうして、こうするのか」という根拠はしつこいくらいに説明します。生徒個々が説明できるようになるまで続けます。

――同様に、安全については特に注意を払っていますね。

三宅部長 浦和高校ラグビー部は過去に大きなケガ人も出ています。安全面の対策は徹底します。1年生は、どんなにスキルが高くても、新チームがスタートするまでは上級生の試合には出しません。体をしっかり作って、十分に高校生のコンタクトに慣れてから。

山本監督 下のメニュー表は、ちょうど今の時期に行う体力強化練習のメニューです。この時期は2年生も含めてじっくり体を作って、一つ上のレベルを目指す土台を作る。

 タックルについては、三宅先生ら近年の浦和高校の、安全への取り組みも反映されています。コンタクトの曲面だけではなく、相手に芯で当たれる間合いの詰め方を含めて指導していく。ラグビーはケガが怖い。漠然と恐れるのではなく、その原因を把握して対策する、つまり「正しく恐れる」ことが、安全管理上とても大切だと考えています。

 こうした安全が確保されて初めて、ラグビーを始めた生徒がのびのびとプレーでき、選手として成長できるのだと思います。

 まずは型を教え(守)、やがてそれを糧に彼らが自分で考え始め(破)、最後は彼ら自身が創造をする(離)。

 多様で主体的な経験を経て、最後は彼らが自走するチームになってくれたらいいなと思います。

([2]につづく)

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