ワールドカップ 2020.03.12
【コラム】釜石のワールドカップは、まだ終わっていない。

【コラム】釜石のワールドカップは、まだ終わっていない。

[ 野村周平 ]


写真奥の観客席が、期間中増設されたサイドスタンド。ウルグアイがフィジーを倒した9月25日には、釜石の「虎舞」のほか、北上市に伝わる「鬼剣舞」も披露された(撮影:山口高明)

 釜石のみならず、競技施設で採算をとることの難しさは、日本のスポーツ界が抱える課題の一つだ。例えば、東京都はオリンピック・パラリンピックの競技会場として整備する6施設のうち、5施設の年間収支は赤字になると試算している。黒字化できるのは音楽ライブなどの収益が見込める有明アリーナのみで、それ以外の5施設の赤字額は合計で11億円弱に上る。オリンピックのメイン会場となる新たな国立競技場も、年間維持費24億円をどう賄うかに頭を痛めている。
 
 復興スタジアムは、津波の直撃をうけた小中学校の跡地に建った会場だ。そのためにも子どもたちに広く開放し、市内外の学校を中心に市民が使いやすい予約システムなどを構築することが不可欠になる。収益性よりも人が使うことを最優先させることで、将来の活路が開けるのでは、と個人的には考えている。
 
 大規模国際イベントを開いた会場を「負の遺産」にしないためにも、三陸の小さな街をスタジアムを軸に活性化するという文脈においても、釜石市のこれからの取り組みは注目に値する。
 釜石のW杯は、まだ終わっていない。

野村周平
【筆者プロフィール】野村周平( のむら・しゅうへい )
1980年生まれ、東京都出身。慶應義塾大学卒業後、朝日新聞入社。大阪スポーツ部、岡山総局、大阪スポーツ部、東京スポーツ部、東京社会部を経て、2018年1月より東京スポーツ部。ラグビーワールドカップ2011年大会、2015年大会、そして2016年リオ・オリンピックなどを取材。自身は中1時にラグビーを始め大学までプレー。ポジションはFL。

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